トネリコの樹の下で

物理と音楽と時々水泳。オペラに関する話題が中心です。

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ピド映像盤:『夢遊病の女』 (ベッリーニ)

今年初はベッリーニで。

①音盤情報
『夢遊病の女』 (ベッリーニ作曲)

 エルヴィーノ: フアン・ディエゴ・フローレス
 アミーナ: ナタリー・デセイ
 ロドルフォ伯爵: ミケーレ・ペルトゥージ
 リーサ: ジェニファー・ブラック
 テレサ: ジェーン・バンネル 、他

 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: エヴェリーノ・ピド
 演出: メアリー・ジマーマン
 収録: 2009年3月、ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)

HMVはこちら。この盤は日本語字幕無しです(日本語字幕付きが売られているのかは知りません、ごめんなさい)。

②はじめに
たぶん2度目の鑑賞。遥か昔にTVで観たことがある気がする。
恒例の幕間インタビュー“Backstage at the Met”も収録されていて、インタビュアーはデボラ・ヴォイトです。(彼女の英語はめちゃ速くて、全部は聴きとれませんでした)。

当メモ初のベッリーニ。もともと得意な作曲家ではないのですが、なぜかこの作品にだけは縁があります。
筋書きはまぁどうでもいいというか、劇的でも超愉快でもないある意味ふつーのものですね。

音楽を見ても、喜劇ではあるけれどもそんな盛り上がるわけでもなく、ベルカントだけれども超高音・超美旋律の連続というわけでもない、というのが当作。しかしそこがミソだと思っていて、各要素の中庸さに起因したどこか牧歌的な雰囲気と飾り気のないピュアな音楽が魅力だと言えるでしょう。
まぁだからこそ演奏効果と言う意味で難しいところがあるのかもしれません...。

本盤の演出としてはその『夢遊病の女』自体のリハーサル会場が舞台となっていて、練習している感じの部分とそうじゃない現実のような部分が混在しているのが特徴かと思います。最初の方は理解できたですが、途中からなんか良くわからなくなっていったのは演出の意図でしょうかね...?。個人的にはこの作品なら、もっとすっきりしてる方が好みです。
最後の夢遊病のシーンや、いい意味で軽い感じのフィナーレがお気に入りかなー。

あと昨今の録音としては珍しく、プロンプターの声がそこそこ聴こえました。理由は複数考えられるでしょうが、気にされる方はご注意(?)を。因みに幕間インタービューではこのプロンプターさんも出てきます(笑)。

③指揮・オケ
指揮者のピド氏には、恥ずかしながらお初にお目にかかります。若干舞台上とずれてましたが、まーまーかな。派手なことをしていない“ピュアさ”は逆に好印象。

もともとオケが前に出る曲ではないので裏方的ですが、メトのバックは安定したよきものでした。

④歌手
ベッリーニのベルカントオペラを、見てくれまで含めて隙無く作り上げた見事なキャスト達です。

テノール役にありがちな“ダメンズ”・エルヴィーノ役のフローレス。彼の直情的な演技はダメ男にピッタリですなww。完璧な歌唱で、2幕1場は彼の独壇場。
ペルトゥージの伯爵も実に美味なり。渋い響きの中に伊的な暖かさも感じられる美声で、まさにベルカント。舞台を把握したかのような立ち振舞いと、自然でコミカルな演技がいつもながらお見事。

デセイは評判通りの出来ですが、「彼女の声の持つ艶がなんとなく仏的で、ベッリーニにはやや異質かなぁ」という本音もあります。まぁそれはぜいたくな話で、声の絶妙なコントロールなど聴きどころはたくさん。特に2幕夢遊病の場からのラストのカヴァレッタにかけてが素晴らしい。高音・転がし・演技の巧さは言わずもがな。
そして脇役リーサ&テレサにも賛辞を。歌唱もさることながら、ビジュアルや立ち振舞いがプロフェッショナル。よい舞台にはこういう人たちが不可欠ですよねー。

合唱団は人種も年齢もバラバラでメトっぽい(演出的にもそれっぽいかと)。細かい所作・表情までしっかり演技されていて、レベルの高さを感じます。ま、歌としては普通でしたけど(笑)。

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ベッリーニの親しみやすい音楽が、実に親しみやすく演奏されていたと思います。演出が初めて向きではない事を除けば、ベルカントオペラを楽しむという意味でとても優れた音盤だと言えるでしょう。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))
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コメント


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あけましておめでとうございます。
今年もレビュー楽しみにしてます^^

ベッリーニは好きなんですが、この演目はどうも苦手。というのもベル・カントが粗筋なんか関係ないとはわかりつつも流石にこの話はないんじゃないのと言いますか…主役3人があまりにもクソ野郎過ぎて、唯一感情移入できるリーザはフルボッコであまりにもかわいそうに見えてくるんだよね^^;ので世評は低いですが、僕はこの演出ぐらい原作の台本ぶっ飛ばして呉れた方が安心して観れたりします笑。

おっしゃる通りドゥセはルックスや演技、そして歌唱技術は立派なんだけど、アミーナにはややウェット過ぎると思います。もうちょっとあっけらかんとした輝きのある声の方がいい。ペルトゥージは大袈裟な演技はしていないものの、伯爵が立派になり過ぎずしょうもないおっさんの感じがよく出ているのもいいし、何より歌が一級品。出番が少ないのが残念なぐらい。
けど、この盤の主役はやっぱりフローレス!全盛期の声と歌が何より凄まじくて、記事で言及されている2幕のアリアは最高!この歌、メーリでもパヴァちゃんでもタリアヴィーニですらそんなに面白いと思えなかったのに、ここでは大感動!

長くなりましたが、良い映像ですよねこれ^^

Basilio | URL | 2015-01-05(Mon)14:36 [編集]


Re: タイトルなし

> あけましておめでとうございます。
> 今年もレビュー楽しみにしてます^^

おめでとうございます。こちらこそBasilioさんの「千夜」達成を心待ちにしてます(笑)

> ベッリーニは好きなんですが、この演目はどうも苦手。というのもベル・カントが粗筋なんか関係ないとはわかりつつも流石にこの話はないんじゃないのと言いますか…主役3人があまりにもクソ野郎過ぎて、唯一感情移入できるリーザはフルボッコであまりにもかわいそうに見えてくるんだよね^^;ので世評は低いですが、僕はこの演出ぐらい原作の台本ぶっ飛ばして呉れた方が安心して観れたりします笑。

個人的にはエルヴィーノに常時イラッと来てましたw。
演出のコンセプトは割合気に入ってるんですが、ぶっ壊すにしては途中から中途半端になっちゃってた気がするんですよねー。

> けど、この盤の主役はやっぱりフローレス!全盛期の声と歌が何より凄まじくて、記事で言及されている2幕のアリアは最高!この歌、メーリでもパヴァちゃんでもタリアヴィーニですらそんなに面白いと思えなかったのに、ここでは大感動!

ですよね!!。僕ももう少しフローレスを推して書こうかと思ったんですが、他の音盤を殆ど聞いてなかったのでやめてしまいました...(ひよった)。
フローレスは声的にも二枚目よりダメ男が似合ってる気がします(笑)。ヴァリアンテにも聴き惚れたのもあって、このアリアだけ聞きなおしてしまいました。

> 長くなりましたが、良い映像ですよねこれ^^
賛成です。こういった映像が気軽に手に入る今の時代に感謝!!

とねりこ | URL | 2015-01-05(Mon)15:41 [編集]


まだ百夜にすら到達していないと言うのに…w

マンリーコやピンケルトン、レイチェステルに並ぶクズテノールだよね、うんww
そうね、1フィナあたり失速気味な気はする。

この夜のクライマックスはこのアリアだもんね、聴き直すのもわかる笑。ヴァリアンテもだけど最後のロングトーンがまた最高だよね!

Basilio | URL | 2015-01-07(Wed)12:24 [編集]


Re: タイトルなし

> まだ百夜にすら到達していないと言うのに…w

いやいやいや1日1記事出せば3年ぐらいで(アホ

> この夜のクライマックスはこのアリアだもんね、聴き直すのもわかる笑。ヴァリアンテもだけど最後のロングトーンがまた最高だよね!

結構長いアリアですけど終始楽しめましたし、最後にかけて歌唱が盛り上がっていったのも好印象でしたねー。

とねりこ | URL | 2015-01-07(Wed)13:57 [編集]


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