トネリコの樹の下で

物理と音楽と時々水泳。オペラに関する話題が中心です。

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エチェヴェリー仏語盤『リゴレット』(ヴェルディ)

独語版ヴェルディばっかり聴く私ですがたまには仏語版を。
同好の知人に貸してもらった音盤です。

①音盤情報
『リゴレット』 (ヴェルディ作曲)

 リゴレット: ロベール・マサール
 マントヴァ公爵: アラン・ヴァンゾ
 ジルダ: ルネ・ドリア
 スパラフチーレ: エードリアン・レグロス
 マッダレーナ: ドゥニーズ・シャルレ 、他

 ジェジュ・エチェヴェリー交響楽団、合唱団
 指揮: ジェジュ・エチェヴェリー
 録音: 1961年3月、パリ、ステレオ(セッション)

情報元はこちら

②はじめに
当時のパリの本気が窺えるスタジオでのステレオ録音。

仏語ではあるのですが、出演者が上手いのか歌い込んだのか、違和感を感じさせないほど洗練された歌唱でちょっとビックリ。細かい音符は仏語の語感にあわせてちょくちょく書き換えている模様。

明らかな繋ぎ目やわざとらしい嵐のSEが気にならないでもないですが、全体的な完成度はかなり高いといえます。

③指揮・オケ
パリで活躍したエチェヴェリーの指揮、全然持ってないですがこの共演者たちと数多くの録音を残しているようです。必要以上に煽ったり燃え盛ったりしない、こなれた曲作り。伊語だとカロリー不足かもしれませんが、今回の仏語録音にはちょうどいいかと。

オケの情報がはっきりしない(というか変な)書き方なんですが、多分パリ管でしょう。合唱団も然り。

④歌手
まずはマッサールの表題役、これは名唱。伊達男さと渋味が共存する彼らしい父親リゴレット。独唱から重唱まで隙無し。
ヴァンゾの公爵、軽やかで魅力的な歌い口が光ります。彼の爽やかさが仏語版とマッチしてますね。
ドリアはちょっと高音の古めかしい発声が耳につきますが、娘っ子らしさ溢れててグッド。

シャーレイの色気あるマグダレーナや、レグロスの明るめの声によるスタイリッシュなスパラフチーレも高水準。脇に隙がないお陰で全編どの部分も楽しめる録音です。
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単なるイロモノと思わずに(まぁイロモノではありますが笑)、ぜひご一聴を。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))


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ラインスドルフ盤『ワルキューレ』(ワーグナー)

①音盤情報
『ワルキューレ』 (ワーグナー作曲)

 ジークムント: ジョン・ヴィッカーズ
 ジークリンデ: グレ・ブロウエンスティーン
 ヴォータン: ジョージ・ロンドン
 ブリュンヒルデ: ビルギット・ニルソン
 フンディング: デイヴィッド・ウォード
 フリッカ: リタ・ゴール 、他

 ロンドン交響楽団
 指揮: エーリヒ・ラインスドルフ
 録音: 1961年9月、ロンドン、ステレオ(アナログ/セッション)

情報はHMVより。結構安く買えるみたいですね。

②はじめに
たぶん3回目の鑑賞。前回のヴィッカーズつながりでもう1盤。

どうしても同時期のショルティとWPhによる全曲録音の陰に隠れてしまいますが、こちらもラインスドルフとLSOによるDecca正規録音です。
ニルソンを除きショルティ盤とキャストの被りもないため、この時期の裏名盤といった印象。
全般的に声楽部の残響がやや大きめなため、それが気になるところは無くもないですかね。

③指揮・オケ
名匠ラインスドルフは非常に色彩鮮やかで明朗な音作り。ずっしり重厚なワーグナーをご所望の場合を除けば、とっても聴き易く、万人におススメできます。
LSOもとってもストレートに音が鳴っていますので癖がありません。

④歌手
見事な歌手陣がまた聴きどころ。
ショルティ盤やベーム盤と多くの正規盤が存在するニルソンのブリュンヒルデですが、これが最も若い頃の正規録音かと思います。その中で恐らく最も端整な歌唱に仕上がっており、表現力もさることながら彼女の鋭くも澄んだ美声を再確認できるものです。

ジョージ・ロンドンのヴォータン、彼のワルキューレ全曲をステレオの高音質で聞けることに感謝。個人的な所感ですが、フェルディナント・フランツなどに続く伝統的なヴォータン像をこの時代に受け継いだのは彼じゃないでしょうか。(ホッターは当時にしても現代にしても特異的な存在だと思います)。
実のギッシリ詰まった極めて男性的で朗々と響く声がまずもって素晴らしい。大振りではないですが練られた表現も流石。

ジークムントのヴィッカーズ、彼の最良の歌唱のひとつを聞くことが出来ます。これまた適切な表現かは分かりませんが、彼のジークムントにはオテロが重なります。英雄的でありながらどこか悲劇を隠し切れず、また単純でない内面を示唆させる歌唱。ただカッチョいい、ただパワフルなだけではないジークムントの最たる例と言えます。

また特筆すべきはゴールのフリッカ。彼女のフリッカは58年のバイロイトでも聞くことが出来ますが(これも絶唱)、ここではステレオで楽しめます。前述の残響が彼女の声を楽しむ上でややネックではあるのですが、それでも極妻系フリッカとしては最良の歌唱を聴くことができます。
同系統のクローゼ(フルヴェン('54)盤)は流石にオルトルード過ぎ、リポヴシェク(サヴァリッシュ盤)は大好きですがこれもちょっと悪魔的すぎる気もする、ということでゴールに行き着きます。彼女の声の醸し出す色気が、強く叫ぶ箇所でも過剰にキツさを感じさせず、ちょうどよい極妻感を楽しむことが出来ますよ(笑)。

ブロウエンスティーンのジークリンデはこの時代の常連で、柄が大きくなくややリリックなジークリンデ。個人的には柄の大き目のリンデが好みではありますが、ブリュンヒルデとの組み合わせを考えるとこれもアリ。

ウォードはあまり有名な歌手ではないと思うのですが、コヴェントガーデンやバイロイトで活躍したバスらしく日本語Wikipediaもあります。有名どこだとショルティ新盤リゴレットのモンテローネ伯爵でしょうか。指揮と一体化したような音楽を引き立てる歌唱。やや軽めながら朗々と響く美声で、もう少し大きな役でもまた聞いてみたいと思ったり。

ワルキューレたちにも特に不満なし。
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他盤に比べれば知名度は落ちますが、皆がそれぞれに魅力を発揮している本作の裏名盤です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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セラフィン盤『オテロ』(ヴェルディ)

① 音盤情報
『オテロ』 (ヴェルディ作曲)

 オテロ: ジョン・ヴィッカーズ
 イァーゴ: ティト・ゴッビ
 デズデーモナ: レオニー・リザネク
 エミーリア: ミリアム・ピラッツィーニ
 カッシオ: フロリンド・アンドレオーリ
 ロデリーゴ: マリオ・カルリン
 ロドヴィーゴ: フェルッチョ・マッツォーリ 、他

 ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: トゥリオ・セラフィン
 録音:1960年7~8月、ローマ歌劇場、ステレオ(アナログ/セッション)

情報はアマゾンHMVをもとにしました。

② はじめに
名指揮者たるセラフィン、そして名イァーゴたるゴッビ、それぞれにとって唯一のスタジオ録音です
同時期にカラヤン盤という名盤があり、ゴッビについても前年の伝説的な東京ライブが超有名で、セラフィンについても2年前のライブ録音(デル=モナコ、カペッキ、カルテリ出演)がそこそこ知名度ありかつ名演なため、話題に上ることの少ないちょっと可哀想な音盤という印象です(^^;;)。
が、中身は見逃すには勿体ないものでして、さらに正規スタジオ録音なので音も良いというおまけ付き。

③ 指揮・オケ
セラフィンの指揮はゆったりどっしりといった感じで、普段のイメージとは多少異なるかもしれません。非常に長い息遣いながら音楽が停滞しない棒さばきは、さすがセラフィンといったところでしょうか。

一方、例えば冒頭はスタジオ録音のわりにはバラついている箇所が少なからずあり、特に金管のズレがあちこちで悪目立ちしていたように思います。

④ 歌手
まずはゴッビのイァーゴ、ライブさながらの味付けを楽しめます。ここまで純粋悪なイァーゴはゴッビならではですし、彼の独特な声はアンサンブル中でも決して埋没しません。乾杯の歌や大活躍の2幕ももちろん良いですが、4幕去り際の"No"がまた強烈。ここまで憎たらしいイァーゴを他に知りません。

ヴィッカーズがまたアクの強い、陰りを持ったオテロを演じています。カラヤン新盤は声が荒れすぎていて好みじゃないのですが、ここでは暗いドラマティコたるヴィッカーズの良さがふんだんに楽しめます。実直そうながら確かに人間不信に陥りそうな悲劇的オテロ。

リザネクのデズデーモナ、彼女の伊モノとしては今まで聞いた中で一番良い。彼女の歌心が随所で発揮されており、全く違和感無く彼女の丁寧な表現を聞くことが出来ます。他の伊国ソプラノに比べれば幾分暗い声ではありますが、ここでは周りが周りなので寧ろ取り合わせとしては良いかと。

脇役・合唱に不足なし。
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ゴッビは勿論のこと、ヴィッカーズとリザネクの重厚な歌唱も素晴らしいですし、彼らを統率するセラフィンも聞きモノという名盤です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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