トネリコの樹の下で

物理と音楽と時々水泳。オペラに関する話題が中心です。

サヴァリッシュ映像盤:『影の無い女』 (R.シュトラウス)

①音盤情報
『影の無い女』 (R. シュトラウス作曲)

 皇后: ルアナ・デヴォル
 乳母: マルヤーナ・リポヴシェク
 皇帝: ペーター・ザイフェルト
 染物師バラク: アラン・タイタス
 染物師の妻: ジャニス・マーティン
 使者: ヤン・ヘンドリク・ローテリング、他

 バイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: ヴォルフガング・サヴァリッシュ
 演出:市川猿之助、装置:朝倉摂、衣裳:森英恵
 収録:1992年、愛知県芸術劇場(ライヴ)

購入元及び参照元はこちら

②はじめに
日本にゆかりのある公演です。
名匠サヴァリッシュとバイエルンが、かの市川猿之助と手を組んで、しかも愛知県芸術劇場の杮落し公演として上演したもの。

私は歌舞伎には全く触れたことが無いのですが、そんな私でも違和感なく、また美しさを感じることのできる演出。少なくとも日本人にとっては、自然と親しみを持てる演出だろうなと思います。(これが欧米の人にどう映るかはわかりませんが)。
どうしても映像にするとやや暗さを感じますが、歴史に残る名演を楽しませてくれる貴重なDVDです。

③指揮・オケ
シュトラウス・サウンドを楽しませてくれる名コンビ。
サヴァリッシュの『影の無い女』はCD盤含めちょっと緩さを感じる箇所(特に2幕の皇帝のモノローグ)があるのですが、楽譜が過不足鳴っていると思うで不満には至らないかな、と。

④歌手
同じく映像盤として名高いショルティのものに比べると歌手の有名度は劣りますが、中身は負けず劣らず。

そのショルティ盤でも圧倒的な存在感を見せたリポヴシェクはここでもキレっキレ。やはり当たり役。
更に皇后のデヴォルが絶好調。上から下までコントロールされており、特に高音の安定感は聴いていて心地よい。ベテランらしい行き届いた表現もよし。おしろいや着物も似合ってますし、大きな動きは無くとも所作や表情がその葛藤を訴えてきます。65歳まで第一線のドラマティック・ソプラノであり続けた彼女の代表盤ではないでしょうか。
使者のローテリングは名脇バス。脇役ながら実質「カイコバード役」でもあるという要な役どころ、かっちりとした歌がぴたり嵌まってます。

ザイフェルトの皇帝も安定しており、流石の歌唱。演技は粗いのですが、それを補って余りある歌です。
タイタスは優しさと抱擁感あるバラクを、個性は少ないながらじんわり聞かせてくれます。
主要歌手の中だとマーティンの歌がやや単調気味。ま、声は出てるし2幕ラストは締まってたし、悪くはないでしょう。

そのほかも合唱含め、穴は無し。

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ショルティ盤と比べても甲乙つけがたい名演です!


((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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東京春音楽祭『神々の黄昏』(2017年4月1日)

更新をサボりにサボっていたのを徐々に再開。やはり自分のためにもメモしておきたいと思いまして。

①公演情報
『神々の黄昏』(ワーグナー作曲)

 ジークフリート: アーノルド・ベズイエン
 グンター: マルクス・アイヒェ
 ハーゲン: アイン・アンガー
 アルベリヒ: トマス・コニエチュニー
 ブリュンヒルデ: レベッカ・ティーム
 グートルーネ: レジーネ・ハングラー
 ヴァルトラウテ: エリーザベト・クールマン
 第1のノルン、フロースヒルデ: 金子美香
 第2のノルン、ヴェルグンデ: 秋本悠希
 第3のノルン: 藤谷佳奈枝
 ヴォークリンデ: 小川里美

 指揮: マレク・ヤノフスキ
 NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター: ライナー・キュッヒル)
 合唱:東京オペラシンガーズ
 合唱指揮: トーマス・ラング、宮松重紀
 音楽コーチ: トーマス・ラウスマン
 映像: 田尾下 哲

HPはこちら
僕は4月1日に聞きましたが、4日はブリュンヒルデが(当初どおりの)リボールだったようです。

②はじめに
幸運にも毎年楽しませてもらっている東京春のワーグナーシリーズ、指環の最終章。
序幕から1幕にかけての長さは演奏会形式ゆえ一層疲れますが、全幕聞いた後の満足感はさすがなもの。

③指揮・オケ
ヤノフスキはまず手馴れた指揮。特に葬送行進曲は話をビシッと〆る快演で、最後までN響共々集中力切れず。
4年に渡って最高水準のワーグナーを聴かせてくれた、ヤノフスキとN響(そしてキュッヒル)に感謝。

④歌手
歌手に関しては直前に主役二人ともが体調不良で変わるというなかなか前代未聞な事態。ディーン・スミスのジークフリート聞きたかったんだけどなぁ。

急遽の来日したベズイエンは、まあ歌ってくれただけ感謝せねば、、、という感じ(^^;;)。正直2幕まではへなちょこもいいところで我慢して聞いていた感じです。3幕は練習が間に合ったようでそこは及第点。
一方のティームは大健闘。雑なところは多々あれど、迫力は十分。2幕のぶちギレシーンといい、自己犠牲の堂々たる歌といい満足満足。

男声低音三人が非常に素晴らしかった。アイヒェ、コニエチュニーは文句なしにその役そのもの。(というかコニエチュニーをあの10分少々だけのために呼んだとかマジ贅沢)。
粗暴なフンディング役のイメージが強かったアンガーですが、昔よりやや整った歌い口で巧く歌っていた印象。迫力ある悪役ハーゲンを演じており、これはぜひ舞台でも見てみたいなーと。

クールマンは流石の声と表現力。もう舞台はやらないらしいけど、ぜひ多くの録音を残してほしい。
ハングラーは特に3幕が丁寧な歌い口でよかった。

はじめて出てきた合唱も、演奏会形式だしビシッと決まってました。

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出演者大変更のトラブルあれど、2幕までのジークフリートを除けば満足できる演奏会でした。
特にハーゲン以下脇役たちが絶品で、こういった行き届いた配役に感謝感謝です。

来年の『ローエングリン』も(好きな歌手が複数出るようですし)期待してます!


((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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新国立劇場『ローエングリン』(2016年5月23日)

時間が無くて、この前聞いた新国ウェルテルもあげてないんですが、とりあえずこちら。

①公演情報

時間がないので詳細は公式ページに譲り、省略します。(後日補筆します)。

②はじめに

2012年に引き続き、新国ローエングリンを観てきました。同じと言ってもフォークトと萩原さん以外のメインキャストがみんな違ったので新鮮に楽しめました。

カーテンコールでは、会場が「もう終わりかな」となりみんな立ち上がった後も続いたため、「全員スタンディングオベーション」みたいになってました(笑)。もちろん素晴らしい演奏だったことは事実です。

演出はわりと好みで、すっきりしてて台本が分かりやすい。記憶が曖昧で前との差異がよくわからんのですが、最後の皆が走り去る様が変わった気がする(気のせいかも)。

③指揮・オケ

飯守さんの指揮は(前のパルジファルでも思いましたが)響きのつくり方が好みです。オケもよく鳴っていたので、ワーグナーを堪能できました。
歌手の伸ばしたいところは結構好きにさせていた印象で、オケも声も共に楽しめる采配だったと思います。

ピット内は「ちょい事故」ぐらいしかなかった一方、バンダに「大事故」が起きました(苦笑)。3幕場転の音楽が大崩れしてしまったのは残念でした。

④歌手

フォークト様は以前より貫禄・安定感が増した気がします。立ち姿は言わずもがな、時に甘く時に凛々しく、綺麗に無理なく響く声はやはり余人に代えがたい。
彼の実演は4回目ですが、以前より強音での声質が硬くなった気がしてます。つまり凛々しさや力強さも前面に出てきたってことなので、これはこれで良き哉。これならターンホイザーできそうかも(事実、来年やるらしい)。
最後はややお疲れ模様でしたけど、最後までミスらしいミスなく美声を響かせていて、流石現代の第一人者といったところ。

以前不満が残ったオルトルート、今回はブリュンヒルデ歌いのラングということで声のキレは申し分ない。もうちょいドスがあるほうが好みですけど、決めどこがバッチリ決まってましたし満足満足。

一方、声のパフォーマンスとしての今日一番は実はバウアーかと。あまり表現の幅の無い楽譜なので“声”一本勝負の国王役、それゆえにその声が響いていたのは頗る嬉しい。youtubeで下調べに聴いた時の10倍ぐらい好印象で(笑)、ホールを震わせるような“大演説”でした。

ウールの芯のあるエルザ、リンの性格的なテルラムントも高水準。二人とも2幕3幕でノってました。ただ難癖つけると、二人ともリズムがやや緩いのと、ウールは弱音、リンは高音が安定してなかったのが気にはなりました。

萩原さんの伝令は前回に続きカッコいい。ぜひ次はテルラムントを!!
合唱、キレイにまとまってました。コロスとしての役割を全うしていたと思います。

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チケットの売り切れ具合も納得の感動的な演奏でした。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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東京春音楽祭『ジークフリート』(2016年4月10日)

①公演情報
『ジークフリート』(ワーグナー作曲)

 ジークフリート: アンドレアス・シャーガー
 ブリュンヒルデ: エリカ・ズンネガルド
 さすらい人: エギルス・シリンス
 ミーメ: ゲルハルト・シーゲル
 アルベリヒ: トマス・コニエチュニー
 ファーフナー: シム・インスン
 エルダ: ヴィーブケ・レームクール
 森の鳥: 清水理恵

 NHK交響楽団
 指揮: マレク・ヤノフスキ
 音楽コーチ: トーマス・ラウスマン
 映像: 田尾下 哲

HPはこちら

②はじめに
毎年恒例、東京春音楽祭のワーグナーシリーズ。今年も聴きに行くことができました。
このシリーズで今回が一番満足度が高い演奏会でした。やはりこの作品はジークフリートに人を得ると格段に面白くなりますね。

これも恒例の背景CG、前回よりはよかったと思います。2幕ぐらいあまり動かないCGが音楽を邪魔しなくていいかなぁと。

③指揮・オケ
ヤノフスキってジークフリートを得意としてないイメージだったのですが、そんなこともなかったようです(笑)。最後の2重唱だけはあっさりしすぎに感じましたが、それ以外は◎。
最近のN響定期は聞いてないのですが、このシリーズでのN響のライブ感は好印象。キュッヒルのコンマスソロ、アングレの下手吹き、角笛ホルンもそれぞれよかったです。

④歌手
なんと言っても題名役のシャーガー!! 歌もそうですが演技も終始ノリノリ。更にはカーテンコールに大きな投げキッスで返すスターっぷり。
1幕の鍛冶の歌から圧倒的でしたが、幕が進むにつれて更に調子を上げていくのだから驚きです。勢いで歌ってる部分は多いですが、一方でブリュンヒルデが起きる前のシーンでは丁寧な表現も聞かれました。さすがはいろいろな役を歌ってきたベテランですね。
暴力的なまでの力強さランス・ライアンが勝るでしょうが、シャーガーのほうが声質や歌い口は断然好みです。立ち姿も映えますし、今後に期待が高まります!!

次はミーメ役のシーゲル、彼もシャーガーに負けないぐらいの拍手がありました。実はミーメって1幕80分間出ずっぱりなので大変なんですが、シーゲルの声の最後まで通ること通ること。ヘルデン出身のミーメと言うことで、キャラクターテナーが歌ったときとはまた違った旨味があり、素晴しかったと思います。

このシリーズお馴染みシリンスのさすらい人、安定感があります。2幕のアルベリッヒとのダイアログや、3幕のジークフリートとのやり取りでの巧さが印象的でした。
2年前の『ライン』で魅せてくれたコニエチュニーも健在。演技だけでなく、声で勝負できるアルベリッヒです。
ファフナーのインスン、フンディングより合ってます。斃された後のやりとりもびしっと締めてくれました。

と、男性陣が強力だったのもあり、(もともとあまり出番の無い)女性陣は普通といった感じか。
ズンネガルドは線が細めのブリュンヒルデ。声自体はいいのですが、楽譜をよく見ていたためか声が飛んでこない箇所がややありました。『ワルキューレ』や『黄昏』の同役を実演で歌うのはまだ厳しいかと思いますが、今後に期待。
レームクールのエルダは手堅い歌唱だった印象。
清水さんの森の鳥はその瑞々しい声が印象的。彼女のようなコロラトゥーラ過ぎない歌唱のほうが好みです。

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全体として満足度の高い演奏会でしたが、特にシャーガーには驚かされました。
彼のジークフリートはyoutubeで検索すると見つかるので、ぜひ聴いてみてください。
(特に野外コンサートのやつがおススメ)。


((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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新国立劇場『イェヌーファ』(2016年3月8日)

忙しさにかまけてサボっていたせいで、すごく遅くなってしまいましたが...。

①公演情報
『イェヌーファ』(ヤナーチェク作曲)

 ブリヤ家の女主人: ハンナ・シュヴァルツ
 ラツァ・クレメニュ: ヴィル・ハルトマン
 シュテヴァ・ブリヤ: ジャンルカ・ザンピエーリ
 コステルニチカ: ジェニファー・ラーモア
 イェヌーファ: ミヒャエラ・カウネ
 粉矢の親方: 萩原潤
 村長: 志村文彦
 村長夫人: 与田朝子
 カロルカ: 針生美智子
 羊飼いの女: 鵜木絵里
 バレナ: 小泉詠子
 ヤノ: 吉原圭子

 東京交響楽団・新国立劇場合唱団
 指揮: トーマス・ハヌス
 演出: クリフトフ・ロイ

新国のHPはこちら

②はじめに
まともに聞いたことが一度もないという、ド初見での鑑賞。

ベルリンオペラのプロダクションを持ってきたもので、ほぼ同じキャストによる映像商品化もされているようです。
ヤナーチェクのオペラをこの近場で、かつ非常に高い質で上演してくださったことに感謝です。

演出に関してはあの“ゾフィエンザール×影のない女”のロイだということで少々不安でしたが、無用な心配でした。白を基調にしたシンプルな舞台セットで、人物の内面にフォーカスしたような演出。恐らく変に写実性を追求するよりも、このオペラの重ーい題材に合った方針だったと思います。
舞台がスッキリしている分、初めての私も混乱なく楽しめました。特に2幕で窓を開けた瞬間の舞台の美しさが感動ものでしたね。

③指揮・オケ
棒とオケにも賛辞を。改めてヤナーチェクいいなぁ、と思わせてくれる好演。
テンポ感が次々変わり、しょっちゅうゲネラルパウゼが挟まる中で歌と合わせなきゃならない難曲だと思いますが、統率が行き届いていたようです。

バス弾きとしてはいつか演奏してみたいですね。とっても楽しそう。

④歌手
(以下、感想を書くまでに時間が経ってしまい、細かいところ忘れてしまったため、少し軽めの感想になってます^^;;)。
まず素晴らしかったのがラーモア。彼女がこういうドラマチックな役を歌うのを聴くのははじめて。特に2幕のモノローグは大迫力でした。
イェヌーファ役のカウネやラツァ役のハルトマンも文句なく、特に2幕3幕で安定した歌唱だったと思います。

オペラ界屈指のクズ、シュテヴァ役のザンピエーリもいい演技で、声もこういう役にあっていたと思います。(ヒロイックな役をよく歌っているようですが)。
実は声が一番大きかったのは女主人のシュヴァルツで、超豪腕女主人って感じでしたねw。

その他脇役・合唱もよかったです。
ちなみにチェコ語は本当に微塵も分からないので、発音が良かったのかは私には到底判断できませんw。
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ヤナーチェクの良さを再確認した夜でした。
特にコステルニチカという役にはまってしたため、いろいろ音源が欲しくなってしまいそうです。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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ゲルギエフ映像盤『修道院での婚約』 (プロコフィエフ)

①音盤情報
『修道院での婚約』 (プロコフィエフ作曲)

 ドン・ジェローメ: ニコライ・ガジエフ
 ドン・フェルナンド: アレクサンダー・ゲルガロフ
 ルイザ: アンナ・ネトレプコ
 ドゥエンナ(乳母): ラリッサ・ディアドコヴァ (ジャチコーヴァ, ディアドコーヴァ)
 ドン・アントニオ: イェフゲニー・アキモフ
 クララ・ダルマンザ: マリアンナ・タラーソワ
 アイザック・メンドーザ: セルゲイ・アレクサーシキン
 ドン・カルロス: ユーリ・シュクライアー
 オーグスティン神父: ヴラドミール・ヴァネーフ 、他

 キーロフ(マリインスキー)歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: ヴァレリー・ゲルギエフ
 収録:1997年9月

名前については自信ないです...。
タイトルは購入元にあわせましたが『修道院での結婚』と訳される場合もあります。

②はじめに
聴くのも観るのも初めての作品。そもそもロシアものの喜劇自体はじめて。
プロコのオペラって『戦争と平和』をちょこっと聴いたことがある(けど聴き通せてない)ぐらいでした。
しかし、このオペラ自体はなかなかおもしろく感じ、かなり楽しめました。

あらすじに関してはネットでお調べいただければ、(私も幾度となくお世話になっている)他の方々の紹介が見つかるので割愛。よくある“入れ替わり”系の話です。
この台本は“The Duenna, or The Double Elopement”(直訳すると「乳母、もしくは二組の駆け落ち」)というシェリダン(R. B. Sheridan)のお芝居をもとにしています。構成が結構おもしろくて、いわゆるヒロインとその恋人よりも乳母とその家主(ヒロインの父)という、アルトとキャラクターテナーの役が目立つめずらしい作品です。

音楽はメロディや強奏を強烈に印象づけるでもないけど、丁寧に作曲されてる印象です。癖が少なく親しみやすいかと。
一方で1幕はバレエシーンは長めなので好みは出るでしょうし、音楽も話の長さに対してやや盛り上がりに欠ける気が個人的にはしています。

③指揮・オケ
多くの録音・映像を残しているゲルギエフとマリインスキー歌劇場、その手馴れた感じは見事なもの。
ゲルギエフの指揮が結構すっきりしてるので終始聴きやすかったです。
途中、舞台上でクラとペット、バスドラが演奏するのですが、彼らもお見事でした。

④歌手
登場人物が多くて、しかも各役そこそこ出番があります。初めてみる方は混乱せぬようご注意を。

キャラクターテナーが演ずるドン・ジェローメが最も出番が多く、主役とも言えます。当盤のガジエフは非常に素晴らしく、声がいちばんよく出てますし、演技も達者。
原作のタイトルロール、重要な役どころであるドゥエンナ(直訳は乳母なんですがここでは固有名詞的に使ってしまいmす)。ここでのディアドコヴァも最高で、その大見得きったおばちゃんっぷりで笑わせてくれます。また彼女のアクの少なくムラなく響く声は、(変にどろどろにならない分)喜劇的な役にもぴったり。
次にアホ担当のメンドーザ、彼を演ずるアレクサーシキンも非常に演技派で見ごたえあり。
以上三役がこの作品の要だと言えるでしょう。(次点がルイザでしょうか)。

ドゥエンナとメンドーザに加え駆け落ちするのが、ルイザとアントニオ。ブレイク前のネトレプコはかわいさ・演技のうまさ・声の露的美しさで、アキモフと共に文句なし。
駆け落ちする二組に加えてちゃっかり結婚するもう一組が、クララとドン・フェルナンド。タラソヴァも声・容姿ともに丸。ゲルガロフは歌と演技が一本調子な感はありましたが、まぁ許容範囲。

残りのドン・カルロ、オーグスティン神父といった脇役も締まっています。
合唱も問題なく、バレエも素人目にはよかったと思います。

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三組も結婚するオペラはなかなかありませんよね(笑)。
こう見ると端に至るまで実力派が揃っていて、さすがマリインスキーといったところですね。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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ラインスドルフ盤『セビリアの理髪師』 (ロッシーニ)

①音盤情報
『セビリアの理髪師』(ロッシーニ作曲)

 アルマヴィーヴァ伯爵: チェザーレ・ヴァレッティ
 フィガロ: ロバート・メリル
 バルトロ: フェルナンド・コレナ
 バジリオ: ジュルジュ・トッツィ
 ロジーナ: ロバータ・ピーターズ 、他

 指揮: エリーヒ・ラインスドルフ
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団

あまりネットで情報が出てこないですが、そこまでマイナーな盤じゃない、はず。

②はじめに
n度目の鑑賞。
「ルネッサンス前の古いスタイルの演奏でしょ」と侮るなかれ、現代でも通用する名演です。

確かに歌手のスタイルは現代のロッシーニ歌手に比べれば古いし、ロジーナをソプラノがやってるしと色々あります。しかし、一方でヴァレッティが伯爵の大アリアを復活させていたりと新しさもある、興味深い録音です。

③指揮
まずラインスドルフの采配が冴えていると思います。ウキウキ感を保ちつつも、歌手にピタリと付けていますね。序曲を聞いてもらうだけでも、ロッシーニ的な活気を感じてもらえるでしょう。
なんかトライアングルがめっちゃ大きく聞こえたりと気になるところもありはしますけど(笑)。

④歌手
ピーターズ、ヴァレッティ、メリル、コレナ、トッツィとヴェルディもできちゃいそうな面子ですが、意外や意外、穴のない配役。キャラ違いもなく、全編楽しめます。
歌唱技術だけでなく演技も達者なピーターズ、力強いヴァレッティ、愉しそうな親方メリル、ブッファの大御所コレナ、にやついたバジリオを演ずるトッツィと大満足なもの。特にメリルとトッツィがお気に入りです。

全体的に細かい音符は怪しい箇所もありますが、貶すほどでもない印象。
特にヴァレッティは大変そう(^^;)。でも、装飾を省いたりフレージングで乗りきったりといい意味で“ごまかし”がうまくいっています。結構いいですよ、大アリア。

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ファーストチョイスに!...とは言いませんが、自信を持ってお勧めできる盤です^^。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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ゾルテス独語盤:『ラ・ボエーム』 (プッチーニ)

①音盤情報
『ラ・ボエーム』[独語歌唱](プッチーニ作曲)

 ミミ: ルチア・ポップ
 ロドルフォ: フランシスコ・アライサ
 マルチェッロ: ヴォルフガング・ブレンデル
 ムゼッタ: バーバラ・ダニエルズ
 コッリーネ: ヤン=ヘンドリク・ローテリング
 ショナール: ルートヴィヒ・バウマン
 ベノワ: フリードリヒ・レンツ 、他

 バイエルン放送合唱団、ミュンヘン放送管弦楽団
 指揮: ステファン・ゾルテス
 録音: 1985年、ステレオ

情報はHMVより。

②はじめに
3度目の鑑賞。独語歌唱
ボエームの独語盤としては、ヴンダーリヒのやつとかコンヤのやつもありますが、これはもうちょっと後年のもの。

この盤、なぜか聴くたびに印象が良くなってます。再生環境が多少変わったというのも理由かもしれません。
独語盤を集めるマニア(私)を除けば、アライサを聴くための盤といっていいかと思います。彼のスタジオ原語録音はありそうでないらしいので、これで飢えを癒しましょう(笑)。まぁ独語で聴けたってことで私としては満足なんですけど←。

③指揮・オケ
指揮は大方よいのですが、遅くしすぎて音楽を維持できなくなってる箇所が複数あるようです。しかし独語演奏ながら流れのよい演奏になっている点は好印象で、これはゾルテスの功績でしょう。

④歌手
歌手ではアライサがMVP。癖も出ず、彼のいいところが存分に出てます。高音のきれいさ(特に弱音!!)や音色のノーブルさが素晴らしい。私の聞いたなかで最も“高貴な”詩人ロドルフォ。
ブレンデル・バウマン・ローテルリングは特段主張してなかったけど、キャラも表現も違和感なく合格。

ポップはうまいんだけど、彼女の放つwittyでvividな雰囲気がちょっとキャラ違い。ミミではないかな...。
彼女がムゼッタ的な要素の6割をもっていってしまったのでダニエルズはちょっと可哀想ww。とはいえ好演で、ちょっと背伸びした感じの、ほのかな色気も纏ったムゼッタです。

レンツによるブノワもファンには嬉しいサービス。

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アライサファンは必聴の盤でしょう。
彼の原語盤(リッチャレッリとのライブのやつ)もいつか聞いてみたいものです。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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エレーデ盤:『ラ・ファヴォリータ』 (ドニゼッティ)

大好きな作品でよく聴いているのですが、このメモには初登場です。

①音盤情報
『ラ・ファヴォリータ』 (ドニゼッティ作曲)

 レオノーラ・ディ・グスマン: ジュリエッタ・シミオナート
 フェルナンド: ジャンニ・ポッジ
 アルフォンゾ11世: エットーレ・バスティアニーニ
 バルタッサーレ: ジェローム・ハインズ
 イネス: ビーチェ・マグナーニ
 ドン・ガスパロ: ピエロ・デ・パルマ 

 フィレンツェ音楽祭合唱団、フィレンツェ音楽祭管弦楽団
 指揮: アルベルト・エレーデ
 録音: 1955年8月, イタリア

情報はNaxosから。

②はじめに
5度目ぐらいの鑑賞。
初期ステレオって感じの音質で、ちょっと音が固いかもしれません。

メゾがプリマを務めるベルカントものとして貴重な作品。実はベルカント作品のなかでは一番よく聞く作品です。

③指揮・オケ
エレーデとオケはだいたい問題ないんですが、序曲その他で縦の線が崩れて「おや?」っと思うところはあります。
ま、そんな気にする人はいないでしょう。全体的にはエレーデの手馴れた感じが心地よい演奏です。

④歌手
アルフォンゾ役のバスティアニーニが当役ベストな歌唱。気品と分別を兼ね備えた王様役でバリトンとなれば、彼がベストに上がるのも当然でしょう。
シミオナートもこれまた気品溢れるレオノーラを歌い上げたという意味で、特筆すべきものです。高音もバッチリ決めてますし、まさに“絶品”の歌といえると思います。
ポッジの清々しい熱をもって明朗に響く声は、「そこそこ身分がある」けど「(例によって)あんま思慮深くなさそう」というフェルナンドにはピッタリ。
ハインズはずっしり腰を据えた役作り。彼のような重厚な存在感が、2フィナの充実度、ひいては物語全体の充実につながっています。

その他の役(デ・パルマ!!)も合唱も満足なもの。
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超名盤のわりに廃盤になっていることが多いようです。
未聴の方は見つけ次第確保しておくことをお勧めします!。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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サヴァリッシュ映像盤『ワルキューレ』 (ワーグナー作曲)

10か月近くさぼっていたんですが、意を決して再開します。
ペースは遅いかもしれませんが、趣味として続けていきたいものです...^^;。

①音盤情報
『ワルキューレ』(ワーグナー作曲)

 ジークムント: マンフレート・シェンク
 ジークリンデ: ユリア・ヴァラディ
 フンディング: クルト・モル
 ヴォータン: ロバート・ヘイル
 ブリュンヒルデ: ヒルデガルド・ベーレンス
 フリッカ: マリアナ・リポヴシェク (リポフシェク)
 ヴァルトラウテ: コルネリア・ヴルコップフ
 ヘルムヴィーゲ: ナンシー・グスタフソン
 オルトリンデ: マリアンネ・ザイベル
 ゲルヒルデ: アンドレア・トラウポート
 シュヴェルトライテ: アンネ・ペレコールネ
 ジークルーネ: クリステル・ボルハース
 ロスヴァイゼ: グドルン・ヴェヴェツォウ
 グリムゲルデ: ビルギット・カルム

 指揮: ヴォルフガング・サヴァリッシュ
 バイエルン国立歌劇場管弦楽団
 演出: ニコラウス・レーンホフ
 録音: 1989年11月&12月、バイエルン国立歌劇場  

情報はHMVより。
ただDVDを手に入れるのは結構難しいのかも。

②はじめに
映像ははじめてですが、音だけなら数度聞いてます。音が映像とDVDで同じなのかは知りませんが、出てきた感想はCDで聞いたときとほぼ一緒です。
この指環全部のDVDが出ているらしいですが購入できていません。今回のはNHKでの放送を録画したもの。字幕は新たにつけ直したようですし、放送された映像自体も非常にきれいでした。

レーンホフの演出と編集の悪さが評判の映像。ただ、この第一夜に限るなら別に普通かなと言った感じ。寧ろ2幕前半や3幕の舞台は私的には結構しっくりきましたよ。演出で気になったのは1幕でのジークムントとフンディングの振る舞いが荒々しかったことぐらいでしょうか(あと終幕時の良くわからない一枚絵)。
映像編集もそんなに気になることはないのですが、最後のヴォータンの決め台詞でヴォータンを映さなかったことだけは個人的には大きな不満です(ヘイルが決めてる姿を視たかった...)。

③指揮・オケ
サヴァリッシュとバイエルンのコンビは安心安定で、音の流れに違和感を感じさせることがありません。それゆえ「つまらない」とう評と隣り合わせなんでしょうけど(^^;)。
確かにもっと荒々しい方が好みなところもあったりはしますが、この「ちょうどよさ」には抗いがたいものがあります。

④歌手
穴のない配役ですが、特に神々3人が素晴らしい。
なぜかいい評判を見ないヘイル。彼の声はヴォータンの録音史上で、もっともスタンダードな美声といえると思います。その美声だけでなく、同情を誘う深い表現も持ち合わせるお気に入りな歌手です。やや柔らかで苦労人っぽく響く声に加え、細身な体つきなためか、「威厳が足りない」という評だけで終わってしまうことが多いのが残念です。
そしてある意味一番目立っていた(ギラついていた?)のがフリッカのリボフシェク。こちらは私の聞いてきた限り最恐の"鬼嫁"フリッカです。登場から退場まで終始火花をまき散らしていますが歌は崩壊していないのがポイントで、実にドラマティックで彼女らしいフリッカといった感じ。これにはどんなヴォータンもたじたじでしょうww。
ベーレンスについては私なんぞが言うまでもないのですが...。女性的で細めの線ながらドラマティックにも響く美声、これでもって歌われるブリュンヒルデは余人に変えがたい。ただ、疲れが出ると中低音域で声が粗くなってしまうしてしまうのが唯一残念か。

次点がジークリンデのヴァラディ。幸薄そうな声(褒めてます)に加えて、ここぞという時にはビシッと響く声が感動を呼びますね。シェンクのジークムントはやや一本調子ながら悪くない声だし、モルのフンディングもはまり役だと思うんですが、1幕はいまいち盛り上がらなかったような。3人とも2幕3幕の方が良かったように感じました。

ワルキューレの8人も歌・容姿ともによかったです。衣装のおかげもありますが、ちょっと引き目なら皆姉妹に見えたのも良い点。

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2幕3幕がとくに印象的でした。
音だけでも映像つきでも楽しめる盤だといえるでしょう。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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