FC2ブログ

トネリコの樹の下で

オペラに関する感想メモが中心です。

ゲルギエフ映像盤:『ベンヴェヌート・チェッリーニ』 (ベルリオーズ)

①音盤情報
『ベンヴェヌート・チェッリーニ』 (ベルリオーズ作曲)

 チェッリーニ: ブルクハルト・フリッツ
 テレサ: マイヤ・コヴァレヴスカ
 フィエラモスカ: ローラン・ナウリ
 バルドッチ: ブリンドリー・シャラット
 教皇クレメンス七世: ミハイル・ペトレンコ
 アスカーニオ: ケイト・オルドリッチ (アルドリッチ)
 フランチェスコ: グザヴィエ・マス
 ベルナルディーノ: ロベルト・タリアヴィーニ
 ポンペオ: アダム・プラチェトカ

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、合唱団
 指揮: ワレリー・ゲルギエフ
 演出: フィリップ・シュテルツル
 収録: 2007年8月、ザルツブルグ祝祭大劇場

購入と情報はHMVから。

②音盤情報
あんまり意識してなかったんですがベルリオーズをよく聴くこの頃。
『ファウストの劫罰』と『トロイアの人々』については断片/流し聴きはしてましたが、本作についてはマジのマジで初聴。 Blu-ray版、日本語字幕はなし。パリ版での演奏です。

舞台は近未来に移したものでパロディ(というかもはやパクリ)も派手なのでまぁ過激っちゃ過激ですが、そんな変には見えません。喜劇と言えば喜劇ですしパワフルな作品ですし、コレぐらいぶっ飛んでたほうが観てて楽しいのでは。

③指揮・オケ
ゲルギエフってわりと何でも振るんですね。爪楊枝から出てくるチョコマカ感は、動きの激しい本作ではむしろ聞きやすくハマっている気がします。あんまベルリオーズっぽくない感じでしたが、他の音盤を聞いてみないと何とも言えませんな。

④歌手
なんかわりとみんな真面目な歌唱なんで、CD1種/映像2種でフィエラモスカをやってる(聴いてないくせにそういうのだけは何故か知ってる)名手ナウリの喜劇テイストが光ります。1幕の彼のアリアは彼の引き出し全放出って感じで、公演上もまさに頂点でした。
また、アルドリッチも歌うまし演技うましで流石です。

フリッツは立派な歌唱ですが、ハッチャケ不足と声のドイツっぽさが多少気になります。
若いコヴァレヴスカは声・演技・容姿はよし、冒頭含め歌も悪くないけどもうちょいフレーズ感がほしい気がする。
シェラットはもうちょい声の存在感があったほうが対比が良かったかなぁ。一方のペトレンコは深みのある声で皇帝っぽさ満載で◎。 合唱も良かったのでは。

-----
管弦楽のエネルギッシュな愉しさ、ナウリ演じるフィエラモスカの役どころ・歌唱に惹かれます。
気に入ったので、ディヴィス旧盤やネルソン盤は連続して聴く予定です (゚◇゚)ゞ。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

スポンサーサイト

PageTop

イルダール・アブドラザコフ:『Verdi』

彼の音盤が連続していますね…。

①音盤情報
ヴェルディ: オペラ・アリア集

 1. 歌劇『アッティラ』より「ウルディーノ! ウルディン!」
 2. 歌劇『アッティラ』より「ローマの前で私の魂が」
 3. 歌劇『アッティラ』より「恐ろしや!」
 4. 歌劇『ドン・カルロ』より「彼女は私を愛したことがない」
 5. 歌劇『ドン・カルロ』より「一人寂しく眠ろう」
 6. 歌劇『ナブッコ』より「希望を持て、ああ子らよ」
 7. 歌劇『ナブッコ』より「エジプトのあの海辺で」
 8. 歌劇『シモン・ボッカネグラ』より「お前とも最後の別れだ」
 9. 歌劇『シモン・ボッカネグラ』より「悲しい胸の思いは」
 10. 歌劇『オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵』より「奴は遅いぞ!」
 11. 歌劇『オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵』より「裏切りに対する怒りが」
 12. 歌劇『オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵』より「貴様にだ、傲慢な若造」
 13. 歌劇『ナブッコ』より「来なさい、レヴィの人よ」
 14. 歌劇『ナブッコ』より「お前は預言者の言葉によって」
 15. 歌劇『シチリア島の夕べの祈り』より「おお、祖国よ」
 16. 歌劇『シチリア島の夕べの祈り』より「おお、お前、パレルモ」
 17. 歌劇『ルイーザ・ミラー』より「なんということを話してくれたんだ」
 18. 歌劇『ルイーザ・ミラー』より「わしの血も命も与えてやる」
 19. 歌劇『マクベス』より「気をつけて進め、わが息子よ」
 20. 歌劇『マクベス』より「なんという暗い闇が」
 21. 歌劇『エルナーニ』より「私は何を見ているのか」
 22. 歌劇『エルナーニ』より「私は不幸な男だ!…お前は信じていたのだ」
 23. 歌劇『エルナーニ』より「復讐の刃が」

 (Bonus Trackとして4と5の仏語版が最後に入っています)。

 イルダル(イルダール) ・アブドラザコフ(バス)
 ロランド・ヴィラゾン(テノール:1,3,7)、Geoffroy Salvas(バリトン:17)
 モントリオール・メトロポリタン管弦楽団
 指揮: ヤニク・ネゼ=セガン
 録音: 2018年10月21-27日、モントリオール、ステレオ(デジタル/セッション)

情報転載はこちらから。

②感想
弟アブドラザコフことイルダールのヴェルディ集。最近改めて好きになったのでアリア集も聴いてみました。
昨日CDも発売されましたが、国内発売より先にストリーミングが解禁されたので先んじて3回+αほど鑑賞。

彼の声は弾力のある壮年東欧声って感じで、パワーや機動力もあり、表現や技術の幅も広く、露伊仏の主要作品全般を幅広く歌っている印象。高音の響きがよく低音の響きはぼちぼちなので、バスバリトンと評する人もいるようですね。
個人的な彼の立ち位置は活躍の広さのわりにやや特殊で、フルラネット/スカンディウッツィ/ペルトゥージら伊国バスの重鎮とはそれぞれ方向が違うし、ダルカンジェロやターフェルといったスターバスバリトン達とも違い、数歳上のシュロットや同い年のヴィノグラードフとも違う持ち味に感じます。

例えばその巧さゆえどんな役も外すことなく歌ってはいるのですが、ヴェルディ諸役のうち声質的に”老い”が必須のものはやはりイマイチ。このアリア集だとやっぱフィエスコはキャラ違い気味(全曲盤よりはよいんですが)。
また微妙なところですが、個人的にはバッソ・プロフォンドな響きが欲しいバンクォーやザッカリアも役的にはベストとは言えない。いや、彼の逞しすぎるザッカリア、音楽的にはこの上なくかっちょええんですけどね。

フィリッポについてはいろいろとアプローチできますので、彼の巧さがポジティブに働いています。50歳前後ぐらいの偉いオジサンの悲哀を感じる歌唱です。

一方で上記を除く前中期ヴェルディでは無類の強さを見せてくれて、これはライモンディやレイミーと比べても同格か、部分的にはそれ以上だと思います。力強いアッティラは現代の第一人者の風格があり、伸びやかな声が光るオベルトは全曲DVDを観てみたくなりました(この作品はストーリーすら知らない)。シルヴァは役的には老人ですが、楽譜がヴェルディ前期のそれなので違和感ゼロ。以上3組のカヴァティーナ・カバレッタは本当に絶品っす。
プロシダとワルター伯爵も彼の風呂敷の広さを感じさせる密度の高い歌。

このCDの範囲外ですが、じゃあこの前期ヴェルディの流れでドニゼッティやベッリーニのセリアも良さそうかというとちょっと違う気もする。ここら辺が純粋な伊系バスとは違うところでしょうし、面白いところです。
またボーナストラックで仏語版のフィリッポが入ってますが彼の声で歌うなら伊語の方がいいかな(^_^;)。

ネダ=セガンとモントリオールはだいたい的確なんですが、なんかちょいちょい雑では?

-----
これからがまさに旬と言うべき歌手の納得のアリア集です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

スピノジ映像盤:『アルジェのイタリア女』 (ロッシーニ)

①音盤情報
『アルジェのイタリア女』 (ロッシーニ作曲)

 イザベッラ: チェチーリア・バルトリ
 ムスタファ: イルダール・アブドラザコフ
 リンドーロ: エドガルド・ロチャ
 タッデーオ: アレッサンドロ・コルベッリ
 ハーリー: ホセ・コカ・ロサ
 エルヴィーラ: レベッカ・オルヴェラ
 ズールマ: ローザ・ボヴ
 
 ウィーン・フィルハーモニア合唱団、アンサンブル・マテウス
 指揮: ジャン=クリストフ・スピノジ
 演出: モーシュ・ライザー、パトリス・コーリエ
 収録:2018年8月、ザルツブルク、モーツァルト劇場(ライヴ)
 

購入と情報はこちらから。日本語解説付きが来週に発売されますが、解説付きでなくても日本語字幕はついています。

②はじめに
今月発売された最新盤。勢い余って2回鑑賞。
昨年の夏のザルツブルク音楽祭のもので、その前の5月にプレミエだった演出の収録です。その時がバルトリのロールデビューだったとかで注目されてた気がします(その時はムスタファだけキャストが違って、Peter Kálmánだったとのこと)。

まず最新盤のBlu-rayなので音は勿論画質が頗る良い。いつも安いからといってDVDを買いがちなのですが、やっぱ違いますね。
そして演出がとってもセンス良い。実演を観た方の感想がネットにちらほらありますので割愛したいのですが、ノンフィクションっぽい演出だけどちゃんと纏まりのある点、楽譜に寄り添った演出になっている点、各人が変な若作りなどせず自然に演じている点、エルヴィーラに焦点がちゃんと当たっており他2人の脇役もキャラが立っている点、などなど挙げればたくさんいい点が出てきます。唯一言うとすれば演者の技量が出てしまう演出だと思うので、下手な人がやるとあちこち滑りそう…。

③指揮・オケ
指揮とオケは明るく元気ではあったのでその時点で8割〇。
指揮者のスピノジはバロックの方で有名だとのことですが、ここではもうちょい"悪戯"があってもいい気はするのと、全体のアンサンブル精度に若干バラツキがあったのは事実です。

④歌手
本盤を評するなら演者が皆上手い、それに尽きるかと思います。
爆速で畳みかける系ではなくちゃんと音符の長さを感じさせる演奏をしていたので、歌手たちの音の扱い/息遣いがもろに反映される曲作り。だからこそ名手の名手たる歌が光るというもの。

バルトリといえばアンジェリーナですがが、年を経て貫禄が出てきた今だからこそ脂ののったイザベッラが出来たのだと思います。歌は言わずもがな抜群ですし、演技も、醸し出す大人の女性感も(露出の"際どい"箇所はモザイクかかってて笑いましたが)、とても良かった。2回目音に集中して聴いて、彼女の完璧な歌に一層打ちのめされました。

アブドラザコフはマイベストなムスタファになりました。拍手もバルトリ並みかそれ以上だったた気すらします。アンサンブルはちょいちょい怪しかったですし細かい音符はややキツそうでしたが、ですが!、そんなことを忘れさせてくれる位の爆演。恐らく声に脂が乗り切った現在の彼が、リソース溢れる声を豪快に使って、いい意味で歌い飛ばすムスタファ。エロ親父な演技も自然にキマッてましたし、歌としては1幕後半のアリアなんて超痛快。

コルベッリは流石に少し歳をとりましたが、相変わらずタッデーオをやらせたらベストオブベスト。ここでは若作りしない御年そのままの演出が功を奏してか、彼のにじみ出る「ちょっと皮肉屋でちょっと愉快などこにでもいそうなオジサン」っぷりがよく出ていました。
ロチャはこの中では数段知名度が低いですが、『オテロ』でのイアーゴの時から比べてもここ数年で声に明るい照りが出てきており味のある歌を聴かせてくれます。主要キャストで唯一若く演出されているのがまた似合っており、名手達の中でも埋没していません。

オルヴェラ演ずるエルヴィーラは演出で丁寧にブッファに取り入れられており他盤より圧倒的に印象が良い。オルヴェラは演技上手いですし、歌もどんどんのってきた感じで◎。
ハーリーとズールマも歌演技共に非常にいい。というかハーリーは出で立ちがあまりに役に合いすぎててビックリ。
そこまで活躍はしない本作ですが合唱も〇。

-----
本作の映像はけっこういいものが目白押しですが、その中でも強くお勧めできる盤となっています。
名手が名手らしい演唱を魅せてくれ、最新盤かつ日本語字幕も標準搭載ですので是非是非。
[19/08/15 さっそく2回目聴いたのでちょっと加筆修正]



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

オルベリアン盤:『シモン・ボッカネグラ』 (ヴェルディ)

①音盤情報
『シモン・ボッカネグラ』 (ヴェルディ作曲)

 シモン: ドミトリー・ホロストフスキー (フヴォロストフスキー)
 アメーリア: バルバラ・フリットリ
 フィエスコ: イルダル・アブドラザコフ
 ガブリエーレ: ステファノ・セッコ
 パオロ: マルコ・カリーア
 ピエトロ: コスタス・スモリギナス
 侍女: エグレ・シドラウスカイテ
 射手隊長: ケストゥティス・アルカウスキス

 カウナス国立合唱団、カウナス市交響楽団
 指揮: コンスタンティン・オルベリアン
 録音: 2013年8月、リトアニア、ステレオ(デジタル/セッション)

情報はこちらから。

②はじめに
ホロ様とオルベリアンのヴェルディは『リゴレット』もありますので、またそのうち。

③指揮・オケ
オルベリアンとオケはちょっと実直すぎるところもありますけど、この作品の音楽は変に色気出さないほうが映える気がするので問題なし。

④歌手
ホロ様のシモンが出色。暗さと厚さのある声で逞しい海の男を思わせ、表現も脂がのっています。彼の声には時にイタリアものと不和を感じることもあるんですが、ここまで熟成されてくると文句言えませんわ。
一方、ここでのアブドラザコフは微妙。フィエスコという役柄としても、ホロ様との対比としても、声にもっと分厚さが欲しかったところ。歌は巧いのでこういうお爺ちゃん役がただ声質に合ってないだけか。

フリットリは高音が不自由なのとちょっとコッテリ気味ですが、歌がうまいのがなにより。セッコは初めて聴いた気がしますが真っすぐな感じがガブリエーレには悪くない。
カーリオのパオロは若干の小物感がおもしろかったですが、声質的にはピエトロ役のスモリギナスの方が悪役っぽいのでちょっとイメージが逆かも。合唱は大過なし。

-----
ホロ様の映像盤もそのうち観たい…!!



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

ウェルバー映像盤:『メフィストーフェレ』 (ボーイト)

①音盤情報
『メフィストーフェレ』 (ボーイト作曲)

 メフィストーフェレ: ルネ・パーペ
 ファウスト: ジョセフ・カレヤ
 マルゲリータ: クリスティーネ・オポライス
 マルタ: ハイケ・グレツィンガー
 ワグネル: アンドレア・ボルギーニ
 エレナ: カリーネ・ババジャニャン
 パンタリス: レイチェル・ウィルソン
 ネレオ: ジョシュア・オーウェン・ミルス

 バイエルン国立歌劇場合唱団、児童合唱団、管弦楽団
 指揮: オマー・マイア・ウェルバー
 演出: ローランド・シュヴァープ
 収録: 2015年10月、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場(ライヴ)

情報はHMVから。

②はじめに
6月にバイエルンでお土産に買ったDVDその1。 日本語字幕付き。

演出は読み替えで3幕までは結構冴えてた気がしますし楽しんでたんですが、4幕からはあまり惹き込まれませんでした…。前半のアナーキーな感じは適度にスパイスも効いておりいい読み替えだったかと。

③指揮・オケ
ウェルバーはなかなかパワフルな曲作り。2幕後半のどんちゃん騒ぎなんて聞いてて楽しかったし、エピローグは大迫力。
ただガンガンに鳴らしてるのでこりゃ歌手が大変だなぁとも思いました(笑)。

④歌手
題名役のパーペは表現全般はうまいと思うんですが、音だけだとちょっと物足りないかな〜。声張るところはいっぱいいっぱいな印象。

カレヤは今まで聴いた中で彼のベスト。本演出でのファウストの設定に彼の声合ってたというのもありますが、歌のうまさと安定感抜群。
オポライスも特に3幕は演出に合った熱演。 エレナ含め他の役は水準高かったかと。

合唱も特にエピローグは大迫力。てか児童合唱人数多くてびっくり。

-----
個人的にはパーペがもう一歩だったのが引っ掛かります…。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

スカラ座’18-’19『アッティラ』 (ヴェルディ)

音盤になっていないのですが、NHKでやったものの録画を観たので区分けはこちらで。

①上演情報
『アッティラ』 (ヴェルディ作曲) 

 アッティラ: イルダール・アブドラザコフ
 オダベッラ: サイオア・エルナンデス
 エツィオ: ジョルジュ・ペテアン
 フォレスト: ファビオ・サルトーリ
 ウルディーノ: フランチェスコ・ピッターリ
 レオーネ: ジャンルカ・ブラット

 ミラノ・スカラ座合唱団、管弦楽団 
 指揮: リッカルド・シャイー
 演出: ダヴィデ・リヴァーモア
 収録: 2018年12月7日、スカラ座, ミラノ

情報はこちらより拝借しました。

②はじめに
Youtubeで断片的には観てましたが、通してみたのは初めて。再生環境は劣悪ですしご飯食べながら観てた箇所もあるのですが、メモは残しときます。

演出については20世紀に移した上で世紀末的雰囲気を掛け合わせたものに見えますが、モチーフがあるのかは歴史に疎すぎる私はピンとこず。特筆すべきは舞台セットはの豪華さ。プロジェクターと美術の融合が美しい。

1幕2場の後半を夢オチにするのは悪くない筋かと思いました。あとウルディーノの裏切りの様子がわりと丁寧に描かれているのもよかった。 3幕ラストの唐突フィナーレの処理も割と良かったのですが、ノコノコと縛られるアッティラには違和感ありましたね…。(ここのところの演出はムズカシそう)。

中継したものほぼそのままって感じなので、カメラワークが最適化されていないですが、許容範囲かと。

③指揮・オケ
シャイーとスカラは上手い、という一言に尽きる。もうちょい歌手と共に白熱しても良かったと思いますが、それは求め過ぎか。

④歌手
アブドラザコフを全曲で聴いたの初めてな気がします。弾力のある東欧声という地盤に、技術と表現の幅の広さに息の長さ、さらに丁寧な演技が加わっており、現代を代表するバスの美徳が詰まっていたかと。
ペテアンも得意とするエツィオ、終始ハイテンションで直線的な彼の歌はこの役に合います。アリアではHiBというおまけ付き。

マリオッティ映像盤にも出てたサルトーリはほぼ同じ印象ですが、プロローグや1幕では演歌過ぎる気がしました。一方で2フィナ以降は逆にその濃ゆさが映えており、全般としては本盤のほうがよかったかな。
エルナンデスのオダベッラはパワー系歌唱。やや硬質かつビブラート大きめな声は好みではないのですが、パワーと声量があるのでここら辺のヴェルディ諸役は合うかも。

その他も問題なし。

-----
音盤にするのかは分かりませんがストリーミングでは観れる気もするので、気になる方は是非。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

ガーディナー映像盤:『トロイアの人々』 (ベルリオーズ)

①音盤情報
『トロイアの人々 (トロイア人)』 (ベルリオーズ作曲)

 ディドン: スーザン・グラハム
 カサンドル: アンナ・カテリーナ・アントナッチ
 エネ: グレゴリー・クンデ
 コレーブ: リュドヴィク・テジエ
 ナルバル: ロラン・ナウリ
 アンナ: レナータ・ポクピチ
 パンテ: ニコラ・テステ
 イオパス: マーク・パドモア
 アスカーニュ: ステファニー・ドゥストラック
 イラス: トピ・レティプー
 エクトールの亡霊: フェルナン・ベルナディ
 プリアム: ルネ・シレール、他

 モンテヴェルディ合唱団/シャトレ座合唱団
 オルケストル・レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク
 指揮: サー・ジョン・エリオット・ガーディナー
 演出・装置・衣裳:ヤニス・コッコス
 収録: 2003年10月、パリ、シャトレ座(ライヴ)

情報はこちら。私は中古で買いました。

②はじめに
全曲で通して聞いたのは初めて。 日本語字幕はなし。
再評価が進んだおかげかCDもDVDも割と多い作品という印象。

演出は上面の鏡とプロジェクターはうまく使われておりそこはよかったですが、全体としてはシンプル系。 神話ものですし、ごちゃごちゃせずこのぐらいのでまとめるのは観やすくてよい。

③指揮・オケ
ベルリオーズで評価の高い、ガーディナーとレヴォルーショネール・エ・ロマンティーク管のコンビには満足。味の出し方が適度で、オケ独奏、踊りと、合唱と、ソリストとのそれぞれの場面でそれぞれ塩梅のいい出張ようだったかと。それゆえ長ーい本作でも心地よく聴いていられます。

④歌手
アントナッチは集中力の高さ、更に中低音の充実が歌に旨味を与えています。グラハムは表現の引き出しの広さが光っており、極めて多くを求められる難役ながら極めて高い完成度でした。2人共度々歌っている当たり役だけあって素晴らしい。

クンデの押しの強さと陰りの共存する声はカルタゴからの呪いを一身に受ける本役にも合いますし、その高音の張りは英雄としての格も充分。グラハムとの愛の2重唱では2人で甘い歌も聞かせてくれます。

重唱も多く脇役が大量に必要な作品ですが、さすがはパリという万全っぷり。特に若き日のシュッとしたテジエ、彼とアントナッチの重唱は音楽的にとても充実。他にもピリッと締めてくれるナウリやスッキリした歌を聞かせるパドモアとレーティプーなんかは印象的。

-----
ベルリオーズっ気の強い音楽をそのままに楽しめる盤でした。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

ピド映像盤:『清教徒』 (ベッリーニ)

①音盤情報
『清教徒』 (ベッリーニ作曲)

 エルヴィーラ: ディアナ・ダムラウ
 アルトゥーロ: ハビエル・カマレーナ
 リッカルド: リュドヴィク・テジエ
 ジョルジョ: ニコラス・テステ
 エンリケッタ: アンナリーザ・ストロッパ
 ガルティエーロ: フェルナンド・ラド 、他

 マドリード王立歌劇場合唱団、管弦楽団
 指揮: エヴェリーノ・ピド
 演出: エミリオ・サージ
 収録: 2016年7月、マドリード王立歌劇場(ライヴ)

情報購入はHMV

②はじめに
本作を映像で観たことなかったので購入。日本語字幕もあり。
演出はふつう、よく言えば安定。衣装はちょうどよく19世紀ぐらいに移しているので、変に元の時代に沿うより違和感はないです。

③指揮・オケ
ピドはオケ単体としてはそこそこなんですが、歌手とちょっとずれて聞こえる箇所があるのは気になります。

④歌手
現代を代表するピッカピカの歌手たちです。
ダムラウのエルヴィーラ、彼女のセルフ音響効果という感じのコントロールされた声と、極めて滑らかなコロラトゥーラに酔うことができます。近年の彼女は高音がシャウト気味(といってもまあセーフの範囲ですが)なのが気にはなりますが、それ差っ引いてもコレなのでいかに超高音が「美味しいオマケ」であって事の本質ではないということがよくわかりますね。

この前バイエルンで観た『ルチア』に引き続きカマレナには万雷の拍手を浴びせたい。声は一番伸びてるし、次々出てくる超高音は張りと安定感がピカイチだし、歌い口はこういう直情キャラにうってつけだしもう最高。たしかにHiFは下げてますが(Youtubeで色々見た感じ出さないことに決めてるっぽい)、それ差っ引いてもコレなので(以下略)。

テジエは立ち上がりはぼちぼちながら、決闘の場面からはノッてました。彼はちょっと演技が薄味なのが玉に瑕ですが、声の冷酷自己中感はこういう負の感情を纏った敵役には合うと思います。
テステはちょっとペタつく発語が気にはなる一方、丁寧な歌なので重唱とかでは渋く光ります。
ストロッパの王妃も出番短いながら適切なスケールの存在感で◎。他の脇も満足。

合唱は悪くないけどそんなに感心しなかったです。どこが悪いとかはないんですが…。

-----
なんか市場での流通量の少ない盤な気がしますが、日本語字幕があることを含めて本作の代表的な映像盤であるかと思います。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

ボニング旧版:『ルチア』 (ドニゼッティ)

①音盤情報
『ランメルモールのルチア』 (ドニゼッティ作曲)

 エドガルド: ルチアーノ・パヴァロッティ
 エンリーコ: シェリル・ミルンズ
 ルチア: ジョーン・サザーランド
 ライモンド: ニコライ・ギャウロフ
 アルトゥーロ: ライラインド・ディヴィス
 アリサ: ユゲット・トゥランジョー
 ノルマンノ: ピエール・フランチェスコ・ポーリ

 コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団、管弦楽団
 指揮:リチャード・ボニング
 録音:1971年6月28日~7月16日、キングスウェイ・ホール、ステレオ(セッション)

②はじめに
超有名盤。もはやそれ以外の表現がない。

③指揮・オケ
ボニングとコヴェントガーデンはとてもいい仕事。ボニングはたまに微妙な感じのことありますが、ここでは文句のないものです。

④歌手
目も眩む、録音史に残る豪華メンバーです。

サザーランドの伝説的ルチア、それを完璧な形で聴くことができます。美声と技術、まさにベルカントど直球。
パヴァ様も本領発揮のベルカントもの。久しぶりに聞くと歌のうまさに惚れ惚れしてしまいます。
ギャウロフは個人的にはライモンドには声がリッチ過ぎるんですが、それは贅沢な注文。メイン3人を喰わんばかりの迫力と声の芳醇さ。

個人的に本盤の看板はサザーランドとミルンズです。ミルンズのなんとまぁ極上なアシュトン!!! 登場のアリアで声を存分に見せつけた上での2つの二重唱が、まさにもう旨味の暴力。スタジオ録音の美しさを損なわないギリギリまでライブ顔負けの熱量をぶつけています。

脇役と合唱も〇。

-----
これぞ不滅の名盤。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop

マリオッティ映像盤:『アッティラ』 (ヴェルディ)

①音盤情報
『アッティラ』 (ヴェルディ作曲)

 アッティラ: イルデブランド・ダルカンジェロ
 エツィオ: シモーネ・ピアッツォーラ
 オダベッラ: マリア・ホセ・シーリ
 フォレスト: ファビオ・サルトーリ
 ウルディーノ: ジャンルーカ・フローリス
 レオーネ: アントニオ・ディ・マッテオ

 ボローニャ市立劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: ミケーレ・マリオッティ
 演出: ダニエレ・アバド
 収録:2016年、ボローニャ市立劇場(ライヴ)

情報と購入はHMVより。

②はじめに
本作の最新盤。映像でこの作品を観るのは初めて。
最近はアブドラザコフやダルカンジェロのお陰か割とよく上演されている印象。

演出は簡素で外さないもの。最後は急にアッティラが吊るされる箇所は唐突でしたが(音楽も唐突だけど)、それ以外は可もなく不可もないので、本作を導入するにはもってこいかと。嬉しいことに日本語字幕もありますし。
ただ衣装はなんかまとまり無かった気が…。あとゲネとかを繋いでいるせいで拍手はあったりなかったりです。

③指揮・オケ
全体的に素晴らしい盤なんですが、その立役者はマリオッティの指揮とボローニャのオケ。
非常にダイナミックかつ的確に初期ヴェルディの音楽を鳴らしていました。あの有名盤のシノーポリにも迫る名タクトかと。

④歌手
本盤で次に良い点はプロローグ、特に開幕から男声二重唱までが観ててカッコいいこと!!
ダルカンジェロは実に精悍でまた猛々しく、シーリも凛々しくまた激しく、ピアッツォーラも朗々として、単純に観ていて清々しい。これがあると武人としての3者(フォレストも含めれば4者)が固まり、特に主役アッティラの存在感が高まります。

そのダルカンジェロはライモンディの若さをそのままに猛々しくした感じで実に魅力的。アリアでの表現力も流石ですが(実はこの個所は映像の収録日じゃない海賊版Youtube動画の方が調子いい)、プロローグを筆頭に「カッコいい」というのが何よりも秀でている点かと思います。アッティラにこれが無いと全部オダベッラにもってかれちゃうので。

アッティラがカッコいいおかげでホセ・シーリの強烈なオダベッラも際立ちます。今まで聞いた中では一番のオダベッラで、プロローグでは力強い声でゴリゴリすすみ、1幕では(恐らく)本来の彼女らしいコッテリした歌を聞かせてくれます。多少下降音形は潰れてますが瑣末な事です。
サルトーリのフォレストは、ちょっと映像で観ると巨漢すぎる感は否めないのですが、歌としてはハイレベル。Theイタリアンテナーって感じの身の詰まった声ですので、今後どうなっていくのか楽しみです。

ピアッツォーラは声としては大きくない(orマイクに入ってない)のですが、伊的滑らかさをもった声で、またブルゾンを思わせる丁寧さでもって音楽を紡いでいました。これから声が熟していくだろうと思うとひっじょーーーに楽しみなバリトンです。

脇役も、ヴェルディにしてはそんなに目立たないですが合唱もよい。ただレオーネのディ・マッティオは歌はともかく見た目ダンディすぎて「不気味な老人」っぽくはなかったっす。

-----
実は最も有名な正規盤であるガルデッリ盤がピンときてないので(個々の歌は良かったりするんですが)、指揮も歌もいいし日本語字幕もあるという意味でも本盤を筆頭に推したいと思います。
最近他に映像も出てますし、先日のスカラのTV放映も録画してあるので、色々映像でも比べてみる予定です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

PageTop