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トネリコの樹の下で

オペラに関する感想メモが中心です。

クナ映像盤:『ワルキューレ』第1幕 (ワーグナー)

書けてなかった盤たちを放出。

①音盤情報
『ワルキューレ』第1幕 (ワーグナー作曲)

 ジークムント: フリッツ・ウール
 ジークリンデ: クレア・ワトソン
 フンディング: ヨーゼフ・グラインドル

 ウィーン・フィルハーモニー
 指揮: ハンス・クナッパーツブッシュ
 録音: 1963年、演奏会形式の録音、テアター・アン・デア・ヴィーン、モノラル

私は中古で手に入れましたが、一応amazonに新品はあるみたい。今だとこっちがいいのかな。

②はじめに
2回鑑賞。クナの指揮姿が拝める盤として界隈で有名な盤。演奏会形式の録画映像です。
同じシリーズでもバックハウスとのベトコン、ジークフリート牧歌、ニルソンとの『トリスタン』(前奏曲と愛の死)があるらしいですがそれらは未聴。
度々再版されてますし、日本語字幕もありますし、クナの人気を再確認させられます。

で、この盤の素晴らしい点は、クナを、当時のウィーンフィルを、そして往年の名歌手たちを観れるということ!!

③指揮・オケ
大手術後かつ亡くなる少し前なのでクナ自身の体調は良くはなさそうですが、それでも音楽はクナッパーツブッシュそのもの。指揮の動きは大きくなくとも、深く長い呼吸でもって抉り上げるように曲を作っていく、その様子を映像で拝めるのはありがたい限り。
映像で観ての発見は、「あ、意外とクナってザッツ出すんだな」ってことです(笑)。オケにもそうですし、きっちり歌手ともコミュニケーション取ってたのがなんか意外でした(^_^;)。ということで、クナのライブの割には乱れも少なくかなり纏まってます。

当時のウィーンフィルをマジマジと眺められるのも素晴らしい点。ライブ故の傷はありますが、各パートが響かせる音・演奏する姿は流石の超一流。有名なDeccaステレオ盤と比べてみてもおもしろいかも。

④歌手
歌手たちも指揮やオケに負けず劣らず、本盤の価値を高めています。

まずはグラインドルが千両役者の貫禄。台本・旋律上はハッキリ言って地味なフンディング、これぐらい大見得きってくれないと映えません。まぁこんなにドスが利いてるのが本来ベストなのか分からんですが(笑)。
余談ですが、私見ではフンディングは「超重要な脇役」であり、『ドン・カルロ』で言うとフィリッポ(~ヴォータン)ではなく、宗教裁判長(~フリッカ)でもなく、修道士ぐらいの感じの立ち位置だと思ってます(要は超重要な脇役だと言いたいだけ)。

ウールは前半はちょっとカッコよさに欠けましたが、後半に入ってグッと締まりました。1幕だけですがケンペ('61)盤以上の出来だと思います。
ワトソンは正直期待していたほどではなかったですが、彼女らしい丁寧な歌でハイレベル。クナやウールと相まって終盤は充実の音楽でした。

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Deccaの有名盤に満足している人にも聞いていただきたい、往年の大遺産です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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テオ・アダム:『Wagner&Strauss: Famous opera scenes』

①音盤情報
テオ・アダム: 『Richald Wagner & Richard Strauss: Berühmte Opernszenen/Famous opera scenes』

1. 『さまよえるオランダ人』より オランダ人のモノローグ "Die Frist Ist Um"(オランダ人)
2. 『ワルキューレ』より ヴォータンの告別 "Leb Wohl Du Khnes, Herrliches Kind"(ヴォータン)
3. 『マイスタージンガー』より ニワトコのモノローグ "Wie Duftet Doch Der Flieder So Mild"(ザックス)
4. 『トリスタンとイゾルデ』より "Tatest Du's Wirklich"(マルケ王)
5. 『パルジファル』より "Wehevolles Erbe, Dem Ich Verfallen"(アンフォルタス)

 バス: テオ・アダム
 Staatskapelle Berlin
 指揮: オトマール・スウィトナー
 録音: 1965年11月12月、1966年9月、ベルリン

6. *『ばらの騎士』より オックス男爵のワルツ "Was Einem Cavalier Ni All's Passieren Kann"(オックス男爵)
7. *『影の無い女』より "Aus Einem Jungen Mund Gehen Harte Worte"(バラク)

 バス: テオ・アダム、 *(6, 7) メゾ・ソプラノ: ギゼラ・シュレーター
 Staatskapelle Dresden
 指揮: オトマール・スウィトナー
 録音: 1969年1月、ドレスデン

僕が持ってるのはこれですが、現在なら同じ音源が入った『Theo Adam: 90th Birthday Edition』の方が入手しやすいかも。

②感想
20世紀後半の偉大なバス・バリトンであるテオ・アダムの訃報を聞き、追悼を兼ねて購入・鑑賞。偉大なマイスターに合掌。

アダムは言わずもがな録音史上の最も重要な独国バス・バリトンの一人で、明朗な美声、明晰で格式ある歌い口、美しいドイツ語などなど、賛辞の言葉が絶えることのない歌手です。彼はワーグナーを中心とする独オペラ、そして歌曲・カンタータの両分野で活躍しており、今回のCDは前者に関するものですが、あまり後者を聴かない私の耳にもその薫りを強く感じるところ。テノールで言うシュライヤー、バリトンで言うフィッシャー=ディースカウと近いという印象です。

私にとってアダムは、なんといってもハンス・ザックス! カラヤン盤やベーム('68)盤、シッパーズ('72)盤で聞かせてくれる優しく思慮に富み、また若く才気にあふれたマイスターは私の中では不動のベストです。本盤のニワトコのモノローグでもそれを楽しむことができます。同様の観点で、マルケ王やバラクの真摯な歌も際立ちます(これらの全曲は知る限りないので残念)。

オランダ人やヴォータン、アンフォルタスは彼の歌の「善人感」が好みを分けるところではあるでしょうが、純粋に歌としての旨さではベストとも言える完成度。アリア集であることもあってか、歌曲的にも聞こえますね。これらの全曲盤もいずれはメモにしたいところ。
一応付言しておくと、アダムは高い音はごまかす感じになっていることもままあり、また声のパワーで圧すタイプではありません。ま、今回はアリア集なので殆ど気になりませんが。

アダムはなんとなく「バス・バリトン」というイメージがありますが、オックスを聴くと下の音域に広いことにも驚きます。その明朗な声と頭の良さからオックス男爵のような役も達者ですし、他にも(まだ全部は聞けてませんが)『無口な女』のモロズス卿なんかでも味のある歌が残っています。

最後になってしまいましたが盟友スウィトナーの指揮は流石と言うべき出来。比較的速めのテンポで、精度と勢いのバランスを保ちつつ、アダムとの息もピッタリ。伴奏的な立ち位置ながら、ワーグナーやシュトラウスの旨味をしっかり楽しませてくれます。あまり出番はないですがシュレーターも○。

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次は彼のバッハあたりをちゃんと聞いてみたい!!



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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ジンマン&トーンハレ管:管弦楽曲集『Wagner in Switzerland』

①音盤情報
D.ジンマン&トーンハレ管:管弦楽曲集『Wagner in Switzerland』

 1.『さまよえるオランダ人』: 序曲
 2.『さまよえるオランダ人』: オランダ人のモノローグ "Die Frist ist um"
 3.『ラインの黄金』: "Abendlich strahlt der Sonne Auge", 神々のヴァルハラへの入場
 5.『ワルキューレ』: ワルキューレの騎行
 6.『神々の黄昏』: 夜明けとジークフリートのラインへの旅
 7.『ワルキューレ』: ヴォータンの告別"Leb wohl..."と魔の炎の音楽

 (2,3,7)エギリス・シリンス
 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
 指揮: デイヴィッド・ジンマン
 録音:2012年6月26-29日、チューリッヒ/トーンハレ、ステレオ(デジタル/ライヴ)

情報・購入はHMVより。

②感想
はじめての鑑賞。実演で何度も接しているシリンスのCDが欲しくて。
ライブらしいけどなんかすごい音質がいいです、現代スゲェ。また最近にしては珍しく、ブックレットが超豪華。文章・写真・資料が豊富で満足度の高い仕上がりかと思います。

ジンマンとトーンハレ管は丁寧で明瞭な曲作り。オケも各パートきれいに響いており、音響もいいので超絶聴きやすいです。『オランダ人』のモノローグや『黄昏』のラインへの旅でそれが際立ちます。シリンスが入るところもうまくアンサンブルされていると思います。
一方で例えば『黄昏』の夜明けから2重唱に相当するシーンはちょっとタルく感じられ、良くも悪くもあまりライブ感がない感じにはなっているように思います。

お目当てのシリンス。音盤で彼のワーグナーを聴こうとすると本盤とエルダー盤『ワルキューレ』しかないので貴重です。彼の濃密な声は僕は好きですが、ともするとボヤボヤした/ザラついた印象を持ち苦手とする人もいるようですね。ま、僕は好きなんでいいですが(再掲)。
ヴォータンは実演でも聴きましたしエルダー盤もつまみ聞きしましたが、やはりそのズッシリとした声は神々の長としての迫力もたっぷり。

更にシリンスは"嘆かせる"と超一級でして、その点オランダ人は(全曲聞いたことないですが)はまり役でしょう。モノローグしか入ってないですが、ぜひとも全曲で入れてくれないかなー。オランダ人/テルラムント/アンフォルタスあたりが彼の真髄だと思っていて、ちょっと悪人臭い役での心底からの嘆く場面が十八番。シリンスは全体的にジョージ・ロンドンに近いものを感じますが、この点に関してはロンドンをも超えていると思います。(ロンドンはもうちょい堂々としてる印象で、例えばヴォータンはロンドンのほうが好き)。

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星の数ほどあるワーグナーの管弦楽曲集ですが、これもまた興味深い音盤です。特にシリンスを聞いてみたい方はぜひ。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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ロザンタル仏語盤:『トスカ』 (プッチーニ)

①音盤情報
『トスカ』(プッチーニ作曲)[仏語版]

 トスカ: ジャーヌ・ロード
 カヴァラドッシ: アルベール・ランス
 スカルピア: ガブリエル・バキエ
 アンジェロッティ: ジェラール・セルコヤン
 スポレッタ: アイメ・ドニャート 、他

 パリ国立歌劇場管弦楽団・合唱団
 指揮: マニュエル・ロザンタル
 発売: 1961年

Spotifyにて鑑賞。情報はネットにあがってる背面写真などから。これ以上はカナ表記自信ないのでスポレッタまでを表記してます。

②はじめに
初めての鑑賞。仏語歌唱で盤面には『La Tosca』って書いてあるようです。
主役3人を見てこれは聞かざるを得ないと思ったわけです(笑)。

録音は結構危なくて、2幕ラストとかすごい歪んじゃってます。

③指揮・オケ
ラヴェルの直弟子らしいロザンタル。恥ずかしながら初めて聴きましたが、ツボのおさえつつもあまりドロドロさせないあたりが良い。なんか脇役勢の感じと相まって仏ものっぽさすら感じます。
逆にドラマティックなところは、音質も相まってちょっとズッコケることもありますがしょうがないか。

④歌手
全体的に薫り高い歌唱です。仏語だからか、主役から脇まで演技巧者が揃ったからか言葉のやり取りが巧く聞こえます。いい意味で芝居的であり、2幕でのやり取りは文字通り耳が離せません。

まずロードのフローリアがまず色気抜群でこの観点では最上のものかと。声的にはメゾなので高音にややキツさがなくはないですが、中低音域の芳醇さを考えればしかたない。
バキエがまた実に厭らしいスカルピア。その厭らしい中にも歌心や言葉巧みさ散りばめられているので、否が応でも聞き入ってしまう。
ランスのカヴァラドッシは上二人に比べて幾分爽やかですが熱演。特に3幕後半は乗っています。

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仏語であるがゆえに楽しめる盤です。特にロードとバキエが絡む2幕をぜひ!!



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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シモーネ盤:『ゼルミーラ』 (ロッシーニ)

①音盤情報
『ゼルミーラ』(ロッシーニ作曲)

 ゼルミーラ: チェチーリア・ガスディア
 エンマ: ベルナルダ・フィンク
 イーロ: ウィリアム・マッテウッツィ
 アンテノーレ: クリス・メリット
 ポリドーロ: ホセ・ガルシア
 レウチッポ: ボアズ・セネター
 エアチーデ: ヴァーノン・ミドグレイ
 高僧: レスリー・ファイソン

 アンブロジアン・シンガーズ、イ・ソリスティ・ヴェネティ
 指揮: クラウディオ・シモーネ
 録音: 1989年7月、ステレオ(デジタル)

HMVはこちら。新品はなかなか入手が難しいようなので、僕は中古で入手しました。

②はじめに
2回目の鑑賞。ベニーニ盤と並ぶ『ゼルミーラ』の代表盤。
ベニーニ盤にもいい点はありますが、本盤のほうが音楽的に僕の趣味に合います。

僕の持っているERATO盤はやや残響が大きめです。ディスクの切れ目がちょっと微妙で1フィナの冒頭合唱直後でぶった切られています。

③指揮・オケ
ベニーニ盤と比較して最も大きな差は指揮。シモーネの指揮のほうが弾力といいテンポといい、僕の趣味に合います。結構長い作品ですし、割とオーケストレーションも厚いのでこの点は大きい。

④歌手
この時代の名ロッシーニ・ソプラノのガスティア、主役のわりにソロが多くない役ではありますが彼女レベルの存在感があると各所の重唱がおもしろい。フィンクは古楽方面で有名なようですが私は初めて聴きました。重すぎない声と軽やかな技術をもっており侍女役にピタリ。ベニーニ盤の二人も悪くはなかったですがこちらの方が魅力と言う意味で一段上か。

ガルシアは悪くないですが、崩しを入れすぎていてポリドーロとしてはうーん。セネターはなかなか悪役然とした歌です。合唱も立派です。

テノール2役は他盤同様に本盤においてもバッチリ。
マッテウッツィは僕が聞いた中ではベストの歌唱。時として余りに軽過ぎる彼の歌は個人的にそこまで趣味ではないのですが、ここではその明るく晴れやかに響く声を自由自在に使っており感服。アリアも重唱も絶品です。メリットもバリテノールの第一人者としての絶対的風格が光ります。全曲盤として彼の魅力を伝えるに十分すぎるものかと。
それにしても本作録音はテノール役に実に恵まれており、本盤のマッテウッツィとメリット、ベニーニ盤のシラグーサとフォードR.アバド映像盤のフローレスとクンデ、とロッシーニテナーの第一人者たちの名唱を余すところなく、適切な組み合わせで楽しむことができます。とっても聴き比べが捗りますので是非。そしてブラウンリーorカマレナとスパイレスの組み合わせの全曲盤が出ることを祈ってます。

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本作の筆頭として今後も聞かれ続けるだろう名盤です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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マイケル・スパイレス:『Espoir』

①音盤情報
マイケル・スパイレス: アリア集『Espoir』

1. ロッシーニ: 『オテロ』 "Venise, ô ma patrie"
2. ドニゼッティ: 『イギリスのロスモンダ』 "Dopo i lauri di vittoria"
3. アレヴィ: 『ギドとジネヴラ』 "Dans ces lieux"
4. ヴェルディ: 『イェルザレム』 "L'infamie! prenez ma vie!"
5. アレヴィ: 『ギドとジネヴラ』 "Tu seras donc pour moi"
6. ドニゼッティ: 『ドン・セヴァスチャン』 "Seul sur la terre"
7. オベール: 『妖精たちの湖』 "Ils s’éloignent! je reste"
8. ベルリオーズ: 『ベンヴェヌート・チェリーニ』 "Seul pour lutter"
9. ドニゼッティ: 『ラ・ファヴォリータ』 "La maîtresse du Roi..."
10. アレヴィ: 『キプロスの女王』 "De mes aïeux ombres sacrées"
11. ドニゼッティ: 『ランメルモールのルチア』 "Tombe degli avi miei"

 マイケル・スパイレス(スパイアーズ)
 (5)ジョイス・エル・コーリー (El-Khoury).
 ハレ管弦楽団
 指揮: カルロ・リッツィ

主に公式HPから。日本語訳とかは仏語的ではなく慣例的なものを使いました。

②感想
最近の推しテノールであるスパイレスが出したアリア集で、マイナーな曲が集まってる方。
も一個の『A Fool for Love』もなかなかです(し有名曲が多いです)が、彼の持ち味はこちらの方が出ているかと。

前のメモでも書きましたが、スパイレスは現代において美声と言われる類の声ではないでしょう。リリックでありながら低声部にも響きがあり、かつやや鼻にかかるような発声、またHiCより上はかなりファルセットに近い(ミックスボイス?)響きに感じます。イメージとしては一昔前の仏国テナーに近く、従って仏語との親和性が高いと思っています。

ということで彼の持ち味としては
A. ロッシーニの各種バリテノール役
B. ベルカントもの、特に仏語版
C. 仏系のグランド・オペラの諸役(あまりドラマティックではないヤツ)
となっています。そしてこれらすべてを楽しめるのが本アリア集!!

--[2019.01.09加筆]--
入れ忘れてましたが、彼の重要なレパートリーとして
D. 古楽・バロック作品
もあります。ただ僕自身があまり聞けてないので今回はご勘弁くださいm(__)m。
--

Aについては前のメモで出てきてるし1曲だけなので端折り気味で。ここでのポイントは『オテロ』を仏語で入れていることでしょう。伊語版については彼が主演のライブ盤(既聴)はありますが、言語がちがうと印象も変わるものだなぁという感じ。興味深いものです。

Bは特にドニゼッティの仏ものを指します。特に『ドン・セヴァスチャン』『ファヴォリータ』のアリアは整ったもので、そのシュッと洗練された美しさは1つの理想形かと。『ルチア』は唯一伊語で歌われてますがこれまた熱唱。

Cについては同世代のイメールと被る面もありますが、スパイレスのほうが声が軽いので少し持ち味は違います。(バリテノールであるのとドラマティックであることは別)。あまり詳しくない上に曲が頗るマイナーで初めて聴く曲だらけなんですが、オベールの『妖精たちの湖』やアレヴィの『キプロスの女王』のアリアが特にとっても印象深い。美しく薫り高い歌唱です。
エル・コーリーとの重唱もまぁまぁで、彼女のアリア集『Echo』も気になるところ(こっちにもゲストでスパイレスが出てる!)。

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スパイレスという人の特徴をを端的に示してくれるよきアリア集かと思います。聞いたことない人も、『A Fool for Love』のほうでピンとこなかった人もぜひぜひ!!!



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))
[2019.01.09加筆修正]

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バレンボイム映像盤:『マノン』 (マスネ)

①音盤情報
『マノン』 (マスネ作曲)

 マノン: アンナ・ネトレプコ
 騎士デ・グリュー: ローランド・ヴィラゾン
 伯爵デ・グリュー: クリストフ・フィシェッサー
 レスコー: アルフレッド・ダザ
 ギヨー・ド・モルフォンテーヌ: レミー・コラッツァ 、他

 ベルリン国立歌劇場合唱団、シュターツカペレ・ベルリン
 指揮: ダニエル・バレンボイム
 演出: ヴィンセント・パターソン
 舞台: ヨハネス・ライアッカー
 衣装: スーザン・ヒルファティ
 収録: 2007年5月、ベルリン、国立歌劇場(ライヴ)

こちらから。最近も再販されてますので手に入りやすいかと。

②はじめに
2回目の観賞。1回目はかなり前であまり覚えてない。
僕のはDVDですがこの作品はBlu-rayで観るべき(後悔)。

演出詳細は有名盤ゆえ割愛しますが、現代の我々が観て愉しい名舞台かと。オペラに親しみない人にもお勧めできるものです。
付録の舞台裏ドキュメンタリーでも言ってますが、4幕から5幕へのデグリューの着替えが早すぎてスゴい(笑)。

③指揮・オケ
主演二人が目立ちすぎてバレンボイムとバイエルンはあんま印象にないです(^_^;)。別に野暮ったく感じるところもなく自然だったので素晴らしかったのでは(投げやり)。

④歌手
まず当然のこととしてネトレプコとヴィラゾンが主演なので、「エスプリの利いたパリ風マスネ」なんて路線な訳はありません。言わずもがなヴェリズモ寄りアプローチとなっています。

まずもってネトレプコがマノンに似合うこと。声も容姿も重くなる前なので、(流石に15歳はキツいにしても)フツーに10台に聞こえますし見えます。下から上まで潤いと光沢を失うことない声に、歌い口の滑らかさ、天性の演技力、彼女のいいとこ取りって感じ。
更にヴィラゾンなんて仏ものの典型からはおもっきし外れた超激アツ歌唱なんですが、これがまた彼の美点てんこ盛り。ドミンゴの暑苦しいところを凝縮したような彼、身を磨り減らすような没入力でもって描かれる若く真面目で直情的なデ・グリューです。
知る限りこの二人のベスト。特に2幕3幕はこれ以上ってあるの?
つまみ聞きしただけですが、同じく二人主演の『椿姫』よりずっといいように感じました。

脇役の多い作品ですが特に穴無し。主役に比べると主張は感じませんでしたが、座付きの人たちって感じでなかなかだったかと。

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これがマスネの時代の『マノン』かと言われると微妙ですが、『マノン』のひとつの理想形であることは間違えないでしょう。名盤です。



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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P. ジョルダン&パリ国立歌劇場管: 『ニーベルングの指環』 管弦楽曲集 (ワーグナー)

①音盤情報
『ニーベルングの指環』管弦楽作品集 (ワーグナー)

 1. 『ラインの黄金』より『前奏曲とワルハラ城への神々の入場』
 2. 『ワルキューレ』より『ワルキューレの騎行』
 3. 『ワルキューレ』より『魔の炎の音楽』
 4. 『ジークフリート』より『森のささやき』
 5. 『神々の黄昏』より『ジークフリートのラインへの旅』
 6. 『神々の黄昏』より『ジークフリートの葬送行進曲』
 7. 『神々の黄昏』より『ブリュンヒルデの自己犠牲』

 ブリュンヒルデ(7): ニーナ・ステンメ(シュテンメ)
 パリ国立オペラ座管弦楽団
 指揮: フィリップ・ジョルダン
 録音: ステレオ(デジタル)、2013年発売

情報はここから。

②感想
2回目の鑑賞。管弦楽曲集はメモにするの初めてか。
活躍目覚ましいジョルダンによる『指環』の管弦楽曲集です。現在もパリ国立歌劇場の音楽監督を続けているようですし、メストの後のウィーン国立歌劇場の音楽監督にも就任するようで目が離せないですね。

といいつつジョルダンとパリ国立歌劇場をまともに聞いたことあるわけじゃないのですが、ここでのワーグナーは極めて素晴らしい。何か早朝に山の頂上から周りの自然を眺めるような、空気の澄みきった、そして悠然とした音楽。
この作品、手垢がべっとりついた作品ゆえのマンネリ感・難しさがあると思います。確かにもっと荒々しさ/毒々しさ/勢いを持たせた演奏が典型でしょうが、ここでの音楽は彼らだけの神話世界を創り出しており唯一無二かと。特に1曲目『ラインの黄金』からの音楽は20分以上あるにも関わらず全く飽きずに惹きこまれます。また『森のささやき』の空気感も必聴です。

これに加えてステンメの歌唱が更にもう一段階、本盤の魅力を引き上げます。僕の知る限り彼女唯一の『黄昏』ブリュンヒルデ正規録音で、これがもう録音史に残るだろう名ブリュンヒルデ。私の中ではフラグスタート/ヴァルナイ/メードルと並ぶ歌唱です。(ニルソンも好きですが実はそこまで趣味ではなく、ベーレンスも素晴らしいと思うのですがいまいちベストと思われる録音に出会えてない)。力強さ・輝かしさ・潤いの共存する理想的な声と実績に裏打ちされた表現力、真に中庸を極めた正統派ブリュンヒルデだと思います。

これだけのドラマティックソプラノの大家、最近の『指環』の各種ライブ録音の多さにも関わらず、『黄昏』の録音がないというのはマズ過ぎるでしょう…。まぁブリュンヒルデを歌いだしたのは比較的最近なのかもしれませんが。
最近精力的に『指環』チクルスに出演してるようですので、どれか一つでも後世に残ることを切望しています。

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このメンツを元に『指環』全曲を録音できませんか...ね...??



((以上感想は素人耳による非常に個人的なものですのでご注意ください))

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メト・ライブビューイング2018-19:『サムソンとデリラ』

①公演情報
『サムソンとデリラ』 (サン=サーンス作曲)

 デリラ: エリーナ・ガランチャ
 サムソン: ロベルト・アラーニャ
 大司祭: ロラン・ナウリ
 ヘブライの長老: ディミトリ・ベロセルスキー
 ガザの太守アビメレク: イルヒン・アズィゾフ

 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱団
 指揮: マーク・エルダー
 演出: ダルコ・トレズニヤック

HPはこれ

②はじめに
感想を書くのが遅くなってしまいましたが、上演終了間際に東劇で観てきました。
演出はゴージャスで見てて楽しいもの。3幕は多少好みあるかもしれませんが、こんだけ豪華なのを見せてくれるのは流石メト。舞台裏インタビューも、今回は特に面白かったです。

③指揮・オケ
エルダーは最近かなり注目してる指揮者で、『セミラミデ』もそうですし指環もつまみ聞きした感じ取ってもよさそうでしたし。
あまり聞きこんだ作品ではないですが、3幕後半は特に彼に耳を奪われていたように思います。

④歌手
アラーニャとガランチャでこんなドラマティックな演目やる時代になったんですねぇ。二人ともパワーで圧すタイプではないですが、それぞれの美徳を活かした名唱。
アラーニャは途中降板した日もあったとのことで高音はやや乾燥気味な気もしましたが、全体的に安定。アラーニャ節全開の、カッコいいけど情けないサムソン。
ガランチャは単なる悪女でなく「サムソンに本当に恋するデリラ」という解釈で、それがとてつもなく似合います。特に2幕の熱の入りようには目と耳が釘付けで、共演陣の歌も合わさり本公演のハイライト。

結構大役な大司祭はナウリ、流石のベテラン。声を轟かせつつも3幕の音形もこなすあたりは圧巻。
残りの低音二人も超いい声!! じつは1幕で特に印象的だったのは彼らだったり。
合唱は1幕冒頭は言葉が聞き取りづらく「おや?」って感じでしたが、サムソンが加わったあたりからは安定。

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映像盤でもライブ音源でも、音盤化されればプレートル盤と並ぶ超名盤になること間違え無し!



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご承知おきください))

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フランコ・ファジョーリ & VBO: G.F.ヘンデル『オペラ・アリア名曲集』

①公演情報
ひとまずは公式リンクを貼っときます。チラシの曲から変わってたので、そのうちちゃんと書きたい。

②感想
知人にお誘い頂いて参戦。カウンター・テナーを生で聴いたのは初めてでした。

「男バルトリ」とチラシに書いてありますが、声質がバルトリに近いし、選曲や技術もバルトリに似たものがあるので確かになーと。他にカウンター・テナーを真面目に聞いたことないので言えることは少ないですが、ファジョーリの非常に広い音域(特に低音!!)や極めて高い技術には疑いの余地ありません。
特に1曲挙げるなら全曲盤もある『セルセ』のアリア!まさに圧巻の一言。

エンターテイナーとしても光っており、即興のアンコールや聴衆に合唱させるなど、なかなか観れない/体験できないリサイタルでした。
ただ1点、声量はそんなにあるほうじゃないなーとは思いました(席や声種の問題かもしれませんが)。

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古楽やカウンターテナーはあまり触れてこなかったのですが、これを機に色々聴きたいなーと思いました。



((以上は素人耳による個人的な感想ですのでご注意ください))

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