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トネリコの樹の下で

オペラに関する感想メモが中心です。

新国'20-'21:『ルチア』 (2021年4月18日、23日)

①公演情報
歌劇:『ルチア』 (ドニゼッティ作曲)

 ルチア: イリーナ・ルング
 エドガルド: ローレンス・ブラウンリー
 エンリーコ: 須藤慎吾
 ライモンド: 伊藤貴之
 アルトゥーロ: 又吉秀樹
 アリーサ: 小林由佳
 ノルマンノ: 菅野 敦

 合 唱: 新国立劇場合唱団
 管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
 指揮: スペランツァ・スカップッチ
 演出: ジャン=ルイ・グリンダ
 美術: リュディ・サブーンギ
 衣裳: ヨルゲ・ヤーラ
 照明: ローラン・カスタン
 上演:2021年4月18日、23日、新国立劇場

ホームページはこちら

②はじめに
初日(1階中央)と3日目(4回中央)鑑賞。併せて感想を。 某宣言のため、残念なことに3日目が楽日になってしまいました。

Theオーソドックスって感じの演出。ルチアの衣装は現代っぽいですが特に違和感はなし。狂乱の場を除くと演技が全体に薄味ですがこんなもんかなとも思います。
新国の演出で割と思うんですが舞台空間が無駄に広い、特に奥行き。昨今の情勢で演者間の距離を取らなきゃいけないのはわかりますが…。音楽的のみならず視覚的にも違和感あることも。特に上階から見るとセットで埋まってない隙間が目立ちます。

各種繰り返しあり。狂乱の場の後のライモンドとエンリーコの会話だけは無しでした。
演奏としては、特に3日目の最終幕が圧巻でした。観客全員演奏に圧倒され(?)、幕降りて音が消えても拍手のタイミングを失っていたのがハイライト。

③指揮・オケ
スカップッチは緩急激しいイケイケドンドンな指揮。結構好みです~(^^)/。
ただ初日は指揮のやりたいこととオケが噛み合わない場面も多かった。東フィルそのものにも瞬発力・キレ不足を感じる場面がありましたが、3日目はずっと良くなりました。

やはり新国のイタオペは「オケがなぁ」と思うことが多々。シンフォニーオケがピットに代わる代わる入る弊害なのかなぁ。

④歌手
歌手も3日目のほうがよかった。4階のほうが声が響いてたっていうのもあったかも。

ファンとしてはブラウンリーの実演に2回接することができたのは僥倖。
両日ともどの音どの言葉も安定しており、重唱でのHiEsやアリアでのオプションHiCisだって危なげない(派手に溜めてましたが笑)。驚愕。息の長さを活かした、レガーティッシモとでも言うべき歌は最高にベルカント。
ちょぴっとビブラート硬めに響くこともある彼ですが、特に3日目は潤いとハリがたっぷり。もうちょい重めのテナーがやるエドガルドに比べると啖呵を切るところの音圧・迫力は劣りますが、こういうベルカントなエドガルドもよきものです。

ルングはベルカントな歌の"流れ"が魅力的で、高音や弱音も耳に残りました。特に狂乱の場での研ぎ澄まされた歌、演技とシンクロした技巧にはブラヴォー。超超絶技巧で押すタイプの歌手ではないながら、実力者であることを十分に感じさせる歌唱でした。
須藤は2部以降の重唱での活躍が光りました。特に2部2幕のエドガルドとの重唱は迫力あり! ムラはあったように感じますが、一方で爆発力もあるエンリーコでした。
伊藤は東欧系バスのような響きの声でまとまりある歌唱、特に狂乱の場前のずっしりとした語りが印象に残っています。ライモンドはいまいち何がしたいのか分からない役ながら、出番も多く音楽もおいしいので注目したくなります。
合唱や脇はアルトゥーロが両日コケていたことを除けば〇。

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特に歌手に満足したルチアでした。今度はブラウンリーのロッシーニを観に行きたい!!



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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チューリッヒ歌劇場'20-'21:『ホフマン歌劇場』 (オッフェンバック)

①公演情報
歌劇『ホフマン物語』 (オッフェンバック)

 Hoffmann: Saimir Pirgu
 La Muse/Nicklausse: Alexandra Kadurina
 Olympia: Katrina Galka
 Antonia: Ekaterina Bakanova
 Giulietta: Lauren Fagan
 Stella: Erica Petrocelli
 Lindorf/Coppélius/Le docteur Miracle/Le capitaine Dapertutto: Andrew Foster-Williams
 Andrès/Cochenille/Frantz/Pitichinaccio: Spencer Lang
 Maître Luther: Valeriy Murga
 Hermann: Yannick Debus
 Nathanaël: Omer Kobiljak
 Wolfram: Andrei Skliarenko
 Wilhelm: Oleg Davydov
 Spalanzani: Iain Milne
 Crespel: Wieland Satter
 La Voix de la tombe: Judith Schmid
 Peter Schlémil: Thomas Erlank

 Philharmonia Zürich, Chor der Oper Zürich
 Musical director: Antonino Fogliani
 Producer: Andreas Homoki
 公演: 2021年4月11日、チューリッヒ歌劇場、ライブ映像

Oper Zürichのストリーミングにて。こちらから。

②はじめに
新プロダクションを放映していたので。簡単に感想を。
オケと合唱が1kmほど別会場で演奏し、それをホールの歌手の音とミキシングして(実際に流して?)合わせる形式。コロナ時代の放映方法であり、また通信技術が上がった現在だからこそできる形式ですね。

舞台はコンパクトに良くまとまっており、とっても好み。シンプルな中にも必要な要素が綺麗に散りばめられたプロダクションでした。

③指揮・オケ
指揮とオケ、あと合唱についてはみんな好きな人・団体なんですが、上記の形式のためベストパフォーマンスとは言えない感じ。たどたどしいところもチラホラあり、特に合唱とオケとソリストが混じるところは難しいなと。

④歌手
歌手も粒ぞろい。

筆頭はピルグで、重労働な役ながら声も歌も演技もすべてオーソドックスに◎。最後のやけっぱちHiCも雰囲気にあっててヨシ。聴いた中では彼のベストかな。
Kadurinaのミューズ/ニクラウス、ソプラノ4役も皆それぞれ適役。声や歌は勿論、演技や立ち姿に至るまでここまで揃っているのは素晴らしい。
フォスター=ウィリアムズは声で押すタイプではないながら、巧緻な演唱で過不足ない活躍。
たくさんの脇役みなさん、突出せず埋没せずの好演。

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総じてチューリッヒ歌劇場のレベルの高さを見せつけてくれるプロダクションでした。是非実際に行ってみたい歌劇場です。
4月中は観れるようなので皆様もぜひ~。



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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ファーンズ映像盤:『イル・トロヴァトーレ』 (ヴェルディ)

①音盤情報
歌劇:『イル・トロヴァトーレ』 (ヴェルディ作曲)

 レオノーラ: リアンナ・ハルトゥニアン
 マンリーコ: グレゴリー・クンデ
 ルーナ伯爵: ヴィタリ・ヴィリ
 アズチェーナ: アニタ・ラチヴェリシュヴィリ
 フェルランド: アレクサンドル・ツィムバリューク
 イネス: フランチェスカ・シエージナ
 老ジプシー: ジョナサン・フィッシャー
 ルイス: サミュエル・ザッカー
 伝令: アンドリュー・オコーナー

 コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: リチャード・ファーンズ
 演出: デイヴィッド・ベッシュ
 美術: パトリック・バンワート
 収録:2017年、コヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ライヴ)

購入と情報はHMVから。

②はじめに
日本語字幕付き。
繰り返しをフルで行う徹底した演奏で、実演でこれは歌手が大変ですね(^^;)。

演出としてはよくあるシンプルめの現代読み替え演出。音楽を邪魔してませんし観てて違和感はありません。
唯一衣装がクンデには似合ってないかなーと思います…。どうしても御年と体型が目立っちゃいますな。

③指揮・オケ
ファーンズの指揮は全体に速めのテンポ。速すぎて歌手と息が合っていないよう感じるところもチラホラ。オケの鳴り具合など全体にかなりいい感じだっただけにちょっと残念。
歌手の調子も合わさり、4幕2場はずっしりきました。

④歌手
一番良かったのはアズチェーナのラチヴェリシュヴィリ。叫び散らかすのではなく、弱声を駆使した歌唱で病的な女性を演出。歌としても演技としても最も輝いていたのは彼女。
ヴィリはウクライナのバリトンで、フヴォ様の代役で入ったらしい。やや重めの力ある声をしており、今後にも期待が膨らみます。もっとカンタービレが効いた方が好みですが、盲目的なルーナとしては悪くない。

クンデとハルトゥニアンは本プロダクション初演時からの再出演。
クンデは前述の通り見た目ちょと老けすぎなんですが、相変わらずのクンデ節を安心して聴けます。徐々に乗ってきた印象で、3幕アリアから先が特に素晴らしい。ハルトゥニアンは前半がいまいちだったんですが、4幕にて急覚醒。終わり良ければ総て良し。
ツィムバリュクも悪くない。ただ、あまり伊もの向けの声ではないかなとも思ったり。合唱は安定。ルイスが"Di quella pira"前めっちゃずれてたのには、合わせにくいところとはいえちょっとドキッとしました(笑)。

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多少の凸凹感はありますが、なかなか楽しめる盤でした。



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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チチョン映像盤:『ラ・ファヴォリート』 (ドニゼッティ)

①音盤情報
歌劇『ラ・ファヴォリート』 (ドニゼッティ作曲)

 レオノール: エリーナ・ガランチャ
 フェルナン: マシュー・ポレンザーニ
 アルフォンス11世: マリューシュ・クヴィエチェン
 バルタザール: ミカ・カレス
 ドン・ガスパール: ジョシュア・オーウェン・ミルズ
 イネス: エルザ・ブノワ

 バイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 指揮: カレル・マーク・チチョン
 演出: アメリ・ニーアマイア
 収録時期: 2016年10月23日、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場

②はじめに
3回目ぐらいの鑑賞。なぜか以前観た際にメモに残さなかったので。
仏語盤でバレエ音楽もあり(ただし5分程度なので、随分な短縮版?)。伊語版とはラストが違いますね。

衣装を中心に舞台は現代に置き換えられてます。アルフォンスは若手実業家って感じ。比較的シンプルな舞台ながら、本作には十分に思います。キャストも演技映えする人たちなので観てて安心。
バレエ音楽のシーンではアルフォンスとレオノールが映画?舞台?を見ているという演出。実際のバレエはありません。

③指揮・オケ
やや速めのテンポでグイグイ進めるチチョンの指揮。バイエルンと共に弾力のある音作りです。バレエ音楽も映えますな。
もうほんのちょっと遅めのテンポの方が言葉や音の粒が出て好みではありますが、全体には◎。

④歌手
何はともあれガランチャのレオノール!! 近年のように重めな役を本格的に歌い始める少し前ぐらいでしょうか。やっぱどこを取っても巧いし旨い。3幕アリアできれいな山をつくり、ラストでもぐいぐい魅せる。演技も立ち姿については述べるまでもない。

ポレンツァーニは弱音を駆使した歌唱。個人的にはキメ所での張り・伸びがもうちょっとなのですが、これはこれで繊細な若さと旨味ある歌だったかと。
クヴィエチェンは出だしアリアこそボチボチでしたが、2幕2場~3幕1場で本領発揮。悪賢く傲慢な暴君である本役に、彼の演唱スタイルがビシッと合います。随所で見せる"幼さ"の演技も印象的。
カレスはずっしりと厚のある声で、手堅いながらも舞台を牽引する活躍。彼も2幕2場以降で乗ってきていました。

イネスとガスパールは共に歌・演技にも満足。やはりいい公演・演出には脇役の活躍が不可欠ですなぁ。合唱も問題なし。(ただ合唱の場面でやたらプロンプターの声が目立って気が)。

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前半が悪かったわけではないですが、2幕2場~3幕1場にかけての劇の盛り上がり、その後の4幕は特に完成度が高かった!!



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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新国'20-'21:『ワルキューレ』 (2021年3月20日)

①公演情報
楽劇『ワルキューレ』 (ワーグナー作曲)

 ジークムント(第1幕): 村上敏明
 ジークムント(第2幕): 秋谷直之
 フンディング: 長谷川顯
 ヴォータン: ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
 ジークリンデ: 小林厚子
 ブリュンヒルデ: 池田香織
 フリッカ: 藤村実穂子
 ゲルヒルデ: 佐藤路子
 オルトリンデ: 増田のり子
 ヴァルトラウテ: 増田弥生
 シュヴェルトライテ: 中島郁子
 ヘルムヴィーゲ: 平井香織
 ジークルーネ: 小泉詠子
 グリムゲルデ: 金子美香
 ロスヴァイセ: 田村由貴絵

 管弦楽: 東京交響楽団
 指揮: 大野和士
 演出: ゲッツ・フリードリヒ
 美術・衣裳: ゴットフリート・ピルツ
 照明: キンモ・ルスケラ
 公演: 2021年3月20日、新国立劇場

公演のページはこちら

②はじめに
昨今の情勢で外国人キャストが来日不可になり、キャストが悉く変更になった公演。指揮者・主要キャストではフリッカ以外が変更になり、ジークムントは幕割りで担当するという異例のものとなりました。

この日の公演の1幕は、正直に言いますと、私がこれまで実演に触れたオペラの中で一番聞いてて見てて辛いものでした。早く終わって欲しかったというのが本音です。こんな状況下で上演に尽力頂いたことには感謝しかないですが、プロ興行団体の上演を見た一人の消費者として、こういった感想を持たざるを得ませんでした。

そういうわけで1幕は、極めて失礼な表現ながら、「お遊戯会」にしか見えないプロダクションでした。一方で2幕は一番観てて楽しかったかな。

③指揮・オケ
今回はアルフォンス・アッバスによる管弦楽縮小版をベースとした演奏だったわけですが、大野&東響はそんな中でも十分実のある音を響かせてくれました。舞台上とのシナジーからか、2幕3幕の方が圧倒的に良かった印象。

正直に言うともうちょっと寒暖差のある音が好きですが、ここら辺は版のせいもあるかもしれないのでわかりません。はっきり差が聞かれたのは3幕冒頭だけで、それ以外はボケっと聴いてると楽譜の差なのか演奏の差なのか音響の差なのか、僕にはわからないッス。

④歌手
例によって全員敬称略で書かせてもらいます。

別演奏会で来日していたからか代役として参加してくれた、クプファー=ラデツキー。声質としてはバリトン寄りのやや軽めな声ですが、硬質でまっすぐな声質や言葉巧みな語り口、表現の振れ幅も広さは耳に残ります。2幕で彼が歌いだした瞬間、心底ホッとしたのが忘れられません。
池田のブリュンヒルデは最初の嘶きから最後の最後まで、上から下まで危なげなく歌いきるその声に驚き。やや細めの響きの声ではあるのですが、本作での娘として揺れ動くブリュンヒルデには好ましい。心からブラヴォー。
フリッカ役の藤村は、そのすべてから役を自分のものにしていることが伝わってきて、圧倒的安定感と貫禄。特に弱音においても保たれる声の湿度とその説得力は、絶品としか言いようがない。高音はやや硬質に響きましたが、その分ドラマテッィクに聞こえるとも言えるでしょう。
ワルキューレ達もいいアンサンブルしてたと思うのですが、如何せん3幕始まってすぐの地震で気が散ってしまいあまり覚えていません。申し訳なし。

ジークリンデの小林も体当たり的歌唱で劇的。1幕は彼女だけが癒しでした。3幕のキメどこもばっちり!
1幕ジークムントの村上は、無理して代役で歌っているんでしょうし声が出ないのは目を瞑るとしても(むしろ喉を潰さないか心配)、その他についてもいいとこ全く無し。2幕の秋谷は声としては往年のヴィナイを思わせる重戦車声で、ぶっきらぼうながら力唱。今更ながら元のカヴァー歌手が2幕共歌うんじゃだめだったかな…。
フンディングの長谷川は声は大きかったのですが、べたつくフレーズ処理と音程不詳な歌、更には野暮ったい演出も加わり、私としては魅力ゼロなフンディング。

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本作で1幕がこんなに辛いものになるとは予想してなかったですが、2幕3幕が良かったので終わり良ければ総て良し、ということで。



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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スタインバーグ映像盤:『ヴィオランタ』 (コルンゴルド)

①音盤情報
歌劇『ヴィオランタ』 (コルンゴルド作曲)

 ヴィオランタ: アンネマリー・クレーマー
 軍事指揮官シモーネ・トロヴァイ: ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
 アルフォンソ: ノーマン・ラインハルト
 ジョヴァンニ・ブラッカ: ペーター・ソン
 ビーチェ: ソウラ・パラシディス
 バルバラ:ヴィオランタの乳母: アンア・マリア・キウリ
 マッテオ: ホアン・フォルケ 、他

 トリノ王立劇場管弦楽団、合唱団
 指揮: ピンカス・スタインバーグ
 合唱指揮: アンドレア・セッキ
 演出・装置・衣装: ピエール・ルイージ・ピッツィ
 照明: アンドレア・アンフォッシ
 映像ディレクター: マッテオ・リケッティ
 収録: 2020年1月21,23日、トリノ王立劇場

情報はタワレコから。

②はじめに
この作品は本当に初めて聴きました。日本語字幕あり。
来月新国でヴォータンを歌うクプファー=ラデツキーを聴きてみたくて。

作品としては冒頭は微妙かなーと思いましたが、主役たちが出てきてから劇としても音楽としても密度が増しました。ラストの「シモーネを呼んで素直に話そう」という流れでは、ちょっと無茶が過ぎるのでは?と感じざるをえなかったり、突っ込みどころなくはないですが(^^;)。
演出はスッキリしていてよかったのです。なにやら今回がイタリア初演らしい。

③指揮・オケ
コルンゴルドの音楽を楽しませてくれる演奏でしたが、一方でコルンゴルドの難しそうなところもよく分かってしまうのは難しいところですかね。

④歌手
主役は3人とも素晴らしい。特にヴィオランタ役クレーマーの全編にわたる安定感、まっすぐ通る高音は印象的。ラインハルトもモノローグ付近から乗ってきて、やや軽めながら充実の歌唱。クプファー=ラデツキーは役の生真面目さを感じさせる歌で、語りの上手さも光りました。
ソンのブラットは手堅い歌唱、他の脇役でビビッときた歌手はいなかったかなぁ。

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このマイナー作が日本語字幕ありで出ているのは嬉しいことです。


((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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ビリー映像盤『ペレアスとメリザンド』 (ドビュッシー)

①音盤情報
歌劇『ペレアスとメリザンド』 (ドビュッシー作曲)

 メリザンド: ナタリー・デセイ
 ペレアス: ステファーヌ・ドゥグー(デグー)
 ゴロー: ローレン・ナウリ
 アルケル: フィリップ・アン
 ジュヌヴィエーヴ: マリー=ニコル・ルミゥー
 医者/羊飼い: ティム・マーフィン
 イニョルド: ベアテ・リッター

 アルノルト・シェーンベルク合唱団、ウィーン放送交響楽団
 指揮: ベルトラン・ド・ビリー
 演出: ローラン・ペリー
 収録: 2009年1月13日、アン・デア・ウィーン劇場(ライヴ)

購入は確かディスクユニオン、情報はHMVから。

②はじめに
初鑑賞。本作をまともに聴いてのは初めて(多分)。英語字幕のみ。

音楽に関しては掴みにくい面はあれど、耳には馴染みやすい音楽であるように感じました。1幕冒頭のある種神秘的な出会いや3幕4幕での動的な場面まで、ドビュッシーの管弦楽に言葉がつくことによるしい新たな味わいを感じます。
ペリーの演出は本作の暗くてどこかファンタジックな世界観を、シンプルかつストレートに表現していました。

③指揮・オケ
歌手とのシナジーが重要になるように感じましたが、その点ド・ビリーの棒に間違いはなし。管弦楽に不足があったようには思いませんでした。

④歌手
主役3人は仏人(アンも仏語圏加人なのかな?)ということもあり、仏語がさっぱりな私でも、その言葉の美しさを感じることが出来ました。
題名役2人よりゴローが主役然とする作品ですが、ナウリの堂に入った演唱はその期待以上のもの。
また非常に音楽的にも劇的にも重要なアルケル役、アンは柔らかな声で丁寧な歌唱。ただもっと深みがある声の方が良かったかも(他の男声との取り合わせ的に)。

歌として目立つ箇所は多くないメリザンドは"雰囲気"が大事な役でしょう。ここでのデセイは一歩下がった演唱をすることで、そのミステリアスさを出していたように思います。
そしてデグーの明るい声によるペレアス、若さと危うさを両方感じさせる歌唱で、手放しに素晴らしかった。
その他リッターのイニョルド含め不足なし。

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各種CD盤も聴かなきゃなー。


((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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カラヤン('76)盤:『ドン・カルロ』 (ヴェルディ)

①音盤情報
歌劇『ドン・カルロ』 (ヴェルディ作曲)

 フィリッポ2世: ニコライ・ギャウロフ
 ドン・カルロ: ホセ・カレーラス
 ロドリーゴ: ピエロ・カプッチッリ
 宗教裁判長: ジュール・バスタン
 修道士: ホセ・ファン・ダム
 エリザベッタ: ミレッラ・フレーニ
 エボリ公女: フィオレンツァ・コッソット
 テバルト: エディタ・グルベローヴァ
 レルマ伯爵: ギォルギォ・シュテンドロ
 王の使者: クラウス・ユルゲン・クーパー
 天の声: アンナ・トモワ=シントウ 、他

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
 指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン
 録音: 1976年7月26日、祝祭大劇場、ザルツブルク

OperaDepotから。以下、カラヤンについて纏められているウェブページも参考にさせて頂きました。

②はじめに
カラヤンがザルツブルクで『ドン・カルロ』を毎年やっていたころの録音の1つ。カラヤンなので4幕版、というかカラヤン版(笑)。
元はラジオ放送らしく、オランダ語(??)のナレーションが少し入っています。音質はライブとしては極めて良いステレオ。

③指揮・オケ
他のイタオペはさておき、本作についてはカラヤンの指揮に抗いがたい魅力があります。
特に後半でのスローテンポやレガートを要求する棒、良くも悪くも歌に媚びない様は彼らしい。例えば彼の指揮するエボリ/ロドリーゴの両アリアは通常からすれば随分遅いんですが、心より悔いる様/徐々に死にゆく様を考えたらこれもアリだなーと思うわけです。
ちなみにライブらしい危なっかしい箇所が結構ありますが、それもまた一興ですな。

④歌手
常連の皆さま、フレーニ/カレーラス/カプッチッリ/ギャウロフは今更何も言うことはない。この時代の彼らの歌はどれを聴いても間違いがない。評するまでもなくベストなメンバー。加えてファン・ダムの修道士も外せない、Theパーフェクト。
テバルドにグルべ様、天の声にトモワ・シントウを当てる豪華さもまた楽しきもの。

宗教裁判長はバスタン、カラヤンの宗教裁判長として常連のようですが、正直この役のテンプレートからは大きく外れます。化け物爺さんな裁判長ではなく、老い痩せ細りながらも頭は冴えており目の色がまだ黒々としている、そんな印象。意外と聞いているうちに耳を傾けてしまうけど、ギャウロフの爆声と相対すのはちょっと大変そう。

カラヤンの上演記録を見ていると、エボリは結構移り変わりがあった様子。
ここではコッソット、ただし高音の調子がよろしくない(彼女は崩れはしないにせよ、高音危ないことが多い印象)。ただ逆にそれが良かったのか(?)、カラヤンの棒との相性が実はいいのか、ニュアンスが丁寧に込められた歌唱。気位の高さと烈火如き情念、最後にはそれに慟哭混じりの後悔が加わる、全てがいい塩梅なこのエボリはマイベストの1つかも??

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好みが出そうな気はしますが、個人的にはかなり好きな録音!



((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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レヴァイン映像盤:『ドン・カルロ』 (ヴェルディ)

①音盤情報
歌劇『ドン・カルロ』 (ヴェルディ作曲)

 エリザベッタ: ミレッラ・フレーニ
 エボリ公女: グレース・バンブリー
 テバルド: ベッツィー・ノーデン
 ドン・カルロ: プラシド・ドミンゴ
 ロドリーゴ: ルイス・キリコ
 フィリポ2世: ニコライ・ギャウロフ
 宗教裁判長: フルッチョ・フルラネット
 修道僧: ジュリアン・ロビンズ 、他

 メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
 指揮: ジェイムズ・レヴァイン
 演出: ジョン・デクスター
 公演: 1983年3月26日、メトロポリタン歌劇場におけるライヴ収録

情報はブックレットから。中古で米国版を買ったので、最近のDG盤とかとは音質が違うかも。

②はじめに
昔から気になってた映像を入手。
映像はVHSのものをそのまま焼き直したものなので、カラーとはいえ良くはない。音質はそこそこ。

伊語5幕版で、1幕序曲と最初の導入部もアリ。
演出はメトらしい王道系。派手なところは派手、すべてがなじみ易く誰でも楽しめるものです。

③指揮・オケ
本盤を観て、改めていいなーと思ったのがレヴァインとメトのオケ。オーソドックスと言えばそれまでですが、劇のツボを決して外さず、崩れたとしてもヤバくない形に収める、このコンビの手腕には唸らされます。

④歌手
これぞ豪華キャストって感じ。
個人的な筆頭はフレーニ、今更ですがやはりべらぼうに上手い。最終場でのアリア~2重唱にかけての歌密度、圧巻でした。
バンブリーは特に3重唱以降でのキレが素晴らしく、流石は当たり役。ギャウロフの風格ある歌も最高で、丁寧かつ迫力あるフルラネットとのやり取りも緊張感抜群。
ドミンゴは各重唱での上手さ・安定感が光ります。キリコはややベタついて聞こえる一方、直線的で人が良さそうなロドリーゴを力演しており、これはこれであり。
合唱はややパッとしなかったですが、音量の都合でマイクにうまく入っていないような気も。

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今となってはちょっと映像が古いですが、演奏自体はかなり理想に近い名盤です。


((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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新国'20-'21:『トスカ』 (2021年1月23日, 31日)

①公演情報
歌劇『トスカ』 (プッチーニ作曲)

 トスカ: キアーラ・イゾットン
 カヴァラドッシ: フランチェスコ・メーリ
 スカルピア: ダリオ・ソラーリ
 アンジェロッティ: 久保田真澄
 スポレッタ: 今尾滋
 シャルローネ: 大塚博章
 堂守: 志村文彦
 看守:細岡雅哉
 羊飼い: 渡邉早貴子

 新国立劇場合唱団、東京交響楽団
 指揮: ダニエレ・カッレガーリ
 演出: アントネッロ・マダウ=ディアツ
 美術: 川口直次
 衣裳: ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
 照明: 奥畑康夫
 公演: 2021年1月23日[1月31日]、新国立劇場

公演ページはこちら

②はじめに
色々難しい状況ではありますが、すぐ近くで上演するからにはチケット買って聴きにいかねば&応援せねば~。
[最後に31日の公演について追記]

演出は前からあるものらしいですが初見。プロットに忠実で、また美術やセットは比較的豪華で見ごたえあります。テ・デウムの場でダヴィッドの『ナポレオンの戴冠式』っぽい演出をしたのは、1~2幕の展開を皮肉ってるんですかね。

③演奏
改めて観て、やはり見ごたえある作品だなーと思います。特に2幕。
カッレガーリは1幕はゆっくりめ、2幕からは典型~やや速めといったテンポ感。ルバートも多めに使っている印象でした。東響は緊張感あり、ルバートにも一丸となって対応、またパートで言うと特にHrがよかったかなーー。

まずもってメーリを堪能した演奏。中音域の実の詰まった伊的響き、重唱や端々の言葉まで抜かりない安定感、またレガートや弱音に特徴ある「メーリ節」、全てを楽しむことが出来ました。エンジン掛かり切った2幕からは圧巻で、特に"Vittoria!"での伸びと迫力は痺れるほど。
前に聴いたマンリーコはやや軽めに響く印象がありましたが、さすがカヴァラドッシでは堂に入った納得の歌唱でした。

イゾットンは"Vissi d'arte"での濃密な歌が印象的! 声質・響きとしてはあまり好みではないのですが、演唱の丁寧さ・迫力共にハイレベルだったかと思います。
ソラーリの声はスカルピアには声質軽め/声量控えめに感じましたが、一方で歌がとっても丁寧。2幕の対話も不足なく楽しむことが出来ました。連続して新国の『フィガロ』で題名役を歌うようですが、そちらの方が楽しめるかも?

脇役では堂守の志村が勢いがあり、堂守にしては響きの強すぎるほど(笑)。1幕の劇を取り仕切るような存在感でした。

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31日のチケットも取っているので何かあれば追記します。


[追記]
前回もでしたが、全体に1幕はややピリッとしなかったです。特にオケのエンジンがかかるのに時間がかかった気が。楽譜の構成もありますが、2幕からは盛り上がりました。
メーリも冒頭アリアはやはりちょっとノリきらないんですが、2幕以降はさすがのもの。今の彼なら前期ヴェルディとかガブリエーレとかリッカルドとかを生で聴きたいなー。


((以上は素人耳による個人的な感想です、ご留意ください))

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